お盆で帰省した夜、昔の知り合いと二人きりになった
空気は悪くなかった
むしろ踏み出せば何か変わったかもしれない
でも俺は動けなかった
笑って誤魔化して終わり
翌朝にはもう、距離のある顔に戻っていた
若い頃なら「また次がある」と思えただろう
四十代後半になった今は分かる
次なんて、もうない
勇気を出せなかった一瞬が、一生の姿なんだと思う
ただ苦くて、ただ孤独だ