no.4
墓は東京近郊にあり、子供の頃から盆暮れは叔父の家に泊まりに来ていた。
今回もその慣習に則り、両親が叔父の家に泊まりに来た。
親父と叔父の兄弟漫才のような馬鹿話は毎年同じ内容で、それを聞きながらの夕食になる。
母は昔から人前で息子の俺を貶すクセがあり、また、大学生活も慣れ、独り暮らしが楽しくて実家に帰ることを怠っていたためか、夕食会の初めから激しく馬鹿にしてきた。
叔母に救いを求めるように会話をすると叔母までも一緒になって、俺を陥れる有り様だった。
一番腹がたった会話は、母が俺の部屋が実家の部屋と同様でゴミ屋敷になっているのではないかと疑う。
俺は「綺麗にしてるよね?」と叔母に同意を求めた。
叔母は「玄関から見た感じは汚そうだけどぉ。」とホントに汚そうな顔で母の話に乗ったことだった。
母はその内容に大ウケだった。
完全な孤立感とお腹も一杯になったので、「もう帰る!」と言い放ち、叔父の家を出た。