その代わりに、膣壁にこすりつけるので、摩擦や摩耗を増やし、人工の潤滑剤が必要となってくるわけだ。
包皮が小さいと、一方向弁として設計されている亀頭冠は、ペニスが後退する度、膣から愛液をかき出してしまう。包皮完備のペニスと違い、この後退を制限するセンサーもない。
また、神経受容体には射精を誘発する機能が備わっているが、包皮が切除されたペニスは、神経受容体もその大部分が包皮と共に取り除かれているので、その機能自体も無い。
これら受容体の喪失は亀頭、陰茎海綿体、尿道海綿体が受ける強い圧力と喪失した(受容体の)繊細な感覚との間にアンバランスをもたらす。
このアンバランスを補い、オーガズムに至るためには、割礼男性は女性の膣にペニスを大きく出し入れすることで、亀頭、陰茎海綿体、尿道海綿体を刺激する必要が出てくる。
その結果、女性の膣内からは愛液が減り、恥丘とクリトリスへの継続的刺激も減ってしまうわけである。
実際、調査結果を見てみると、割礼組と無傷組で性交の技巧が違うという点で、圧倒的多数の女性の意見は一致している。
女性の73%は、割礼男性はピストン運動のストロークが大きく、強く深いと回答。
その一方で、女性の71%は、無傷男性は比較的ピストン運動が小幅で、動きも優しく、恥丘とクリトリスに接触しやすいと回答している。
割礼が男女のセックス・ライフに与える影響を研究したりする学者は少なく、今回紹介した米研究はその草分けとも言えるのだが、
2003年にはオーストラリアの学者が膣の乾きについて同様の調査結果を報告している(『Journal of the New Zealand Medical Association』<2003年9月12日出版>)。
こちらは、割礼・無傷男性両方と性交渉があった18歳から69歳の女性35人が調査対象。ちなみに、豪州では男性の半数が割礼済み。
やはり、包皮のない男性とセックスすると、膣が乾きやすいと報告している。
また、この傾向は女性の年齢が高くなるほど、より顕著になるとも。
というわけで、包茎にコンプを持つ理由など、どこにもないのである。