後漢時代、後の西郷候・張飛と夏侯氏の若い頃のお話し


建安5年、夏侯氏は足腰の悪い祖母に頼まれ森で薪木を拾っていた。
夏侯氏は13、4の生娘であったがその真珠の様な美貌は誰もが認める所であった。
そこに義兄・劉備とはぐれ部下と共に山賊で食い繋いでいた張飛が通りかかった。

張飛は薪を拾い集めている夏侯氏の可愛さに釘付けとなり馬を止め部下にあの者は何者だ?と尋ねると
張飛の部下はその美しい娘は車騎将軍曹操の従弟で陳留太守夏侯淵の姪であると答えた。

車騎将軍操は張飛の義兄である劉備の宿敵であり張飛は
その臣下・夏侯淵には幾度と無く煮え湯を呑まれた宿敵の間柄であった。
普段の感情的な張飛であれば宿敵の親族とわかれば逆上し直ぐにも殺害してしまうのだが
そんな因縁をも張飛に忘れさせてしまう程、夏侯氏は可憐で美しかった。