妙に高い映画館の売店でパンフレットとジュースを買う。
スーパーなら98円なのに、なんで二倍もするのかと講義したい気持ちは野暮だと抑え込み、
最後列の席に腰を落ち着けた。私は背が高いし目もいいので、この場所がベストなのだ。
ペットボトルのジュースをあおり、知らない映画の予告編を見る。この次点で若干の尿意を感じていたが、まだ十分我慢できるレベルだった。

映画の本編が始まって20分ほどだろうか。
いつもならそろそろトイレに行かないと危険な時間。
私は鞄から空のボトルを取り出すと、下着からカテーテルの先端を外し、その中へと差し込んだ。
誰もが映画に集中している。私はそれを確認すると、カテーテルを挟んでいたピンを外した。
静かな水流がペットボトルを満たしていく。
下腹部の圧迫感から解放されるその感覚に酔いしれながら、本当にカテーテルを買って良かったなんて思っていた。