「セイヤッ!シャーッ!セイヤッ!シャーッ!」
道場の中から独特のダミ声が聞こえる。
どんな凄まじい事をやっているのだろう。
そう思っても、決して、決して中を見ることはできない。

三時間程すると道場の戸が開き、男は出てきた。
その息は荒く、汗ばんだ身体には幾千万の犬の毛が付いている。

「リハーサルは順調ですか?」

そう尋ねると男は、「へへっ」と笑い立ち去った。
その口元から出した排泄物の臭いを残して。