去年の十一月、真夜中四時くらいに知らない女装配信者を見かけた
配信者は三十代くらいで黒いロングの髪で地味な土色のセーターを着て
障子や畳がある薄暗い和室で無表情でうつむきながらチャットで返事をしていた
二十人くらいリスナーがいて、女装配信を良く見るいつもの常連が集まってるのかと
思ったら知らない名前ばかりだった
配信者もリスナーも全員無機質というか感情が見えない話し方で俺は気味の悪さを感じた
そして、更に妙だったのが俺がチャットしても全く反応が無かった
コテをつけても無視されるし、NGされているのか、俺だけタイムラグがあるのかと思ったが
棒読みは俺のコメを正常に読むのでそれはなかった
かなり執拗に、無礼のない様にコメをしたんだが俺だけそこに存在しないような会話がずっと続いて
あまりに薄気味悪くて逃げるように落ちたんだが
せっかくだしお気に入り登録しようと思って一時間後に行ったらいなかった
ブラウザの履歴も共用PCなので残ってないし痕跡も辿れない
あの奇妙な体験は一体なんだったんだろう