年を取ると涙もろくなる本当の理由は?
最近、涙もろくなったと訴える中高年が多い。「朝のテレビドラマを見ると感情移入しやすいのか、
必ず涙ぐむの」「先日映画を見たら冒頭から涙があふれ出て、最後まで止まらなかった。
年を取ったら感受性が豊かになったみたい」こういう話は特に50代、60代の人からよく聞かれる。

しかし、年を取ると涙もろくなるのは、感情移入しやすくなったのでも、感受性が豊かになったのでもない。
大脳の中枢の機能低下が真の理由だ。「背外側前頭前野」と呼ばれる部位が脳全体の司令塔となり、記憶や学習、行動や感情を制御している。
涙もろくなったのは、この部位が担っている感情の抑制機能が低下したからだ。

なぜ、高齢社会では「暴走老人」が増えるのか?
また「キレる高齢者」も目立つ。携帯電話店で若い店員に突然怒鳴り始めたり、駅や病院で暴言を吐いて乱暴に振る舞ったりする
高齢者を時々見かける。2016年版『犯罪白書』によれば、20年前と比べて高齢者の「暴行」は49倍に増加している。

こうした「暴走老人」の増加も、背外側前頭前野の機能低下により、感情を抑制できない高齢者が増えたためだ。
この部位の中核機能の一つに「作動記憶」がある。これは短時間に情報を保持し、処理する能力で、その容量は加齢とともに減少する。これが感情の抑制機能を低下させるのだ。
https://www.sairct.idac.tohoku.ac.jp/related/news/3584/