「よく頑張ったわね。ご苦労様。じゃあ、休憩しましょう。Kクンのためにケーキ買ってあるのよ。」
日曜出勤での打ち合わせが終わり、気がつくと夜になっていた。私はIさんのお言葉に甘えて、ケーキをいただく事にした。
「Kクンってホントに可愛いね。可愛がってあげたくなっちゃう」
「え?」予想だにしないIさんの発言に、しどろもどろになりながらIさんの方を見返した。
「Kクンは私とずっと一緒にいるのはイヤ?」
「い、いえ!とんでもありません。」
「私ね、Kクンのお世話をもっとしてあげたいの。私がずっと仕事の面倒みてあげる。Kクンは何もしなくていいの。私の指示通りに動くだけでいいのよ。私が引っ張っていってあげる。私に任せて?悪いようにはしないから」
甘い誘惑の言葉で私の主体性を奪いにかかるIさん。私の本能が危険を察知し、警戒アラームをならしているが、脳はすっかりIさんの軍門に下る事を求めていた。
「は、はい…これからも、宜しくお願い致します。」あっさりとプライドを放棄し、Iさんに身を委ねる。
「嬉しい!フフ、こちらこそ、宜しくね」
Iさんの満面の笑み。世界中が明るくなるようだった。