第1話

東京オリンピック開催を控え、Kは競泳男子代表入りに向けての自主トレーニングを国内某所にて行う予定であった。そこに国際水泳連盟から1本の電話連絡が入った。
聞けばなんと、かつての競泳日本女子代表で栄光のメダル保持者でもある田中雅美、寺川綾の両氏がKの専属コーチとなり、オリンピックに向けてのサポート合宿をおこなってくれるのだという。
Kは天にも昇る気分であった。Kにとっては天上人と言っても過言ではない憧れの美女スイマーのオリンピックでの雄姿はKの脳裏にくっきりと焼き付いており、美しさ、強さを兼ね備えた、まさにマーメイドの具現化であった。
ドキドキとした胸の高鳴りを自覚しながら、Kは合宿開催地である軽井沢に向かった。

旅の疲れも見せず、軽井沢に着いたKはさっそくプールのあるスポーツセンターに入っていった。
バシャバシャとはじける水音がプールコートから響き渡る。そこには、二人の美女スイマーが二匹のシャチのようにダイナミックな泳ぎをKに見せつけるかのように展開していた。
う、美しい。。。
口を半開きにし、しばらく二人の泳姿にみとれていたK。二人はプールサイドに立ちつくすKの姿に気づくと、プールから上がり、水に濡れ光る肢体をくゆらせながら、Kに歩みより、ニッコリと笑みを浮かべながら右手を差し出した。
「よろしく、K君ね?寺川綾です」「田中雅美よ。よろしく。」
「は、はい!こちらこそ宜しくお願いします!お二人にお会いできて光栄です!」
「今日からオリンピックに向けて、私たち二人がみっちりしごいてあげる。キツくなると思うけど、覚悟はいい?」
「は、はい!もちろんです!」
ニンマリと満足そうな笑みを浮かべる二人。その瞳には獲物を狙う雌豹の輝きを宿していた。