第3話

ガチャリとストレッチルームのドアを開けると、そこには二人がストレッチに精を出していた。肌はピンク色に上気し、身体は温まっているようだ。
「遅いわね、K君。ほら、貴方も早くストレッチしなさい!」
あえてなのか、二人はKの水着姿を見ても特に何も言わず、Kにストレッチを促した。Kはそそくさとマットに座り、開脚前屈などをこなそうとした。
「身体硬いわねぇ〜もっと軟らかくならないの?ほら!」
いきなり綾は前屈するKの背中を足で踏みつけ、体重をかけてKの上半身を無理矢理床に押し付けた。はた目から見れば、女王様に足蹴にされる奴隷男の構図である。
「ぐぁっ!あ、あぁ…!」
Kは予想だにしない粗野な扱われように驚きながらも、かの美女メダリストからの指導を享受した。
「身体の硬さもだけど、貴方いつもレースの後半でバテてタイム落としてるでしょ?心肺機能が全然ダメだから、鍛えこむ必要があるわね」
足蹴にしながら女王の笑みで語りかけ、ようやく足を話した。
「次は四つん這いになって。心肺機能のトレーニングよ」
妖しげな笑みを浮かべる二人。Kは不安を抱きながらもマットの上に四つん這いになった。
四つん這いのKの前にしゃがみこむ二人。Kの顔のすぐ前に二人の美しい顔が並ぶ。
「かなり身体を追い込むトレーニングになるけど、きっと貴方のためになるから、頑張りましょうね」
天使のように優しい口調で、慈愛のこもった笑みを浮かべながらKに語りかける二人。Kはその慈愛に癒され、どんなトレーニングでも頑張って乗り越えてみせると心に誓った。