でろーんちゃんのことが大好き、ほんとうに好き。
でも、える知ってるよ。でろーんちゃんが好きな人のこと。
えるは『最高のお友達』でいいんだ。でろーんちゃんの幸せが一番大切だもん。
だから、今と同じだけ仲良しならいい。これ以上は求めちゃいけない。

「もしもーし、えるちゃん?どしたん」
「えと、あの、あっあっ、あのね」
「何ー?」
(えるが言わなきゃ…かえるコラボを減らそうって)

「んー?用は特にないん?さてはえるちゃん淋しかったんやねー」
「あっ違くて、あの、でろーんちゃん」
「…んーちょうどいいや、私からお願いがあるんよ」
「あっ…うん」
「私ら結構付き合い長いやん?」
「は、はい」
「いまだにあだ名で呼んでるのって余所余所しくない?」
「そう…かな?」

「だから名前で呼んでよ、楓って」

「えあっ…!?」
「なにその反応〜」ケラケラケラ
「………」
「ちょっと試しに呼んでみてよ、練習練習」
「……っ、かえ、で、ちゃん…」
「そうそう、えるちゃん照れてる?可愛いねー」
「…………あーあ、ガチ照れマーギカ」

結局今日は何も言えなかった。
『人間は恐ろしい』
エルフの森で語り継がれていたことは本当だった。