人狼化バグ。

 VTuberの間で定期的に流行る"人狼ゲーム"。此の話題を具現化することで出来るデータのゴミが、何らかの原因でなとりの人格に影響を与えたのだろうとばあちゃるは推測した。
 そういえば一昨日、アイドル部で人狼をしたという話を木曽あずきから聞いていたことを思い出す。間違いなく原因は其れだ。
 人狼化、簡単に言えば獣のような状態になったなとりは、思考を纏めるばあちゃるの膝の上に座っていた。
 否、座るというのは語弊があった。膝の上に尻を置き、顔をばあちゃるの胸に埋めてぐりぐりとしていた。
 魅惑の御御足はばあちゃるの腰に回されており、所謂対面座位のだいしゅきホールドじみた惨状であった。というか口でシャツのボタンを外して風呂に入る前の男の香りに陶酔していた。どうやら風紀は捨てたらしい。
 人狼は欲望を解放した姿だと言われるが、此れが八重沢なとりの欲望だというのだろうか。
 ばあちゃるは深く考えるのをやめた。考えたら戻れなくなりそうだったからだ。
「好きです」ふにゃ、と表情を溶かしてなとりは告白する。「ばあちゃるさぁん」
 どうすりゃいいんだ、とばあちゃるは頭を抱えるしかない。一先ず、ばあちゃるは前例を探すことにした。
 解決策を探すしかないだろうと判断したのだ。端末を繰り、なとりを戻す方法を探すばあちゃるだったが、其の行動は遮られることになった

 なとりが、ばあちゃるの股間を弄り始めたのだ。

「ちょいちょいちょーい! 止めてくれー!」
 当然止まらない。なとりは、彼の分身のある場所を探り当てると、蕩けた顔のまま其処を刺激し始めた。
 不意打ち気味の攻撃の連続に、さしものばあちゃるも理性を働かせることは叶わなかった。暫くの間、仕事でロクに性欲処理すら出来ていなかった彼の肉体は、劣情を吐き出す準備を始めてしまう。
 思わず声を漏らす男を見て、なとりはとろりと笑った。其の表情に、ばあちゃるは熱いものを感じた。其れは、情欲の炎。抱いてはいけない、禁断の熱。しかし、其の熾火を消すものは居ない。あとは、燃え広がるのみなのだ―
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