好きな概念を吐きたかった、後悔はしてない


《兵姫世界線でのお話》
 隕石【エデン】の出現により開発された女性型戦闘用兵器【兵姫】、だが開発当初からその存在に疑念を抱く者たちがいた。

『兵器とは道具、道具に意志があって良いものなのか?』
『意志があるということは反乱を抱く可能性があること』
『敵国を滅ぼした先の次なる銃口を向けられるのはーーー我らなのでは無いのか?』
『ならば、作らねばならない…真の兵器というものを…』

 そう思った“彼ら”の行動は早かった、対兵姫用兵器、俗に言うパワードスーツの開発を始めたのだ。

 “彼ら”の考えは正しい、たしかに近い未来、日本で兵姫たちによるクーデターが行われるのだから
 しかし…、“彼ら”の選んだ選択肢が間違いでしか無かった。
 危機感あれど倫理観の無かった“彼ら”は、その兵器に“人間”を使用したのだ。

 これまでとは比べ物にならない性能を持つ兵姫に対抗するためにと
・兵姫の装備を上回るような武装
・それを操作および制御可能にするシステム
この二つを重要視していた。

 しかし、いざ出来上がってみれば、乗り手に求められる能力が非常に高く、並大抵の人間では乗りこなすことが出来なかった。
 だが、デチューンを行えば兵姫よりも性能が低くなるし、それでも求められる能力は従来の兵器より高いままーーーならば、いっそ乗り手が合わせて仕舞えばいい。

 そう、“彼ら”は薬物や肉体改造などで乗り手を強化し、生きたAIとして扱うプランを採用したのだ。
 最悪なことに時代は戦時中、孤児は…“いなくなっても困らない人間”はたくさんいたのだ。

 三桁を超える子供たちの犠牲の果てに、作られた乗り手はたった二桁にも満たず、皮肉にもそれは全員女性だった。


 そして時期はクーデター前日、そのことを予期していた彼らは最終調整をし終え、此処から避難しようとした際に現れたのは、1人の若い軍人
 裏で非道な研究が行われていることに感づいた彼はもみ消されないようにと単独で調査を行い、長い時間をかけてようやくここへと辿り着いたのだった。

 拘束しようとする軍人、逃げようとする彼ら、そんな時だった。

 クーデターが起きたのは

 地下にあった施設が揺れる、地震ではない、兵姫たちによる爆破攻撃だ。
 彼らの予想よりも早く行われたソレは、“彼ら”を焦らせるのに十分だった。

『早過ぎるーー施設の爆破準備が終わっていない』
『ここで我らの技術が奴らに渡ったら、元も子もない…やむをえないか…』

 “彼ら”は動揺している軍人を眠らせ、脱出用の列車に投げ入れ、走らせた。

『頼む、ここまで来た愚か者よ。彼女たちと共にーー』

ーーー日本を救ってくれ