>>64

超変化球ですが。
漢文調で。

男を落とすには、まず飯を炊け。
意中の胃袋を掴むこと、大なり。
他の者も同じことを考えるだろう。
超えるべからず、沿うべし。
飯を食べた時、心に浮かぶ事こそ肝要。

八重沢には超えられぬ大敵あり。
シロの技術は卓越し、彼の嗜好を知ること絶なり。
打倒など、長城に傷をつけるが如し到底かなわぬ。
而して、超えるべからず。八重沢はシロに学ぶ。
隣並んで包丁を振るう様は姉妹の様であった

彼の前に弁当が二つ。
開ければそこに、彩々の美味が並んでいる。
一つ口をつけ、美味いと感嘆する。
二つ口をつけ、花の咲くような笑みを浮かべる。
姉妹は並んで、陽光のような心情に身を浸す。

八重沢には超えられぬ大敵あり。
シロの技術に並び、彼の嗜好を知ること同じく絶なり。
而して、彼女の料理はシロの模倣の域を出ぬ。
彼女は、心を込めて飯を炊いた。
その飯を食べた男は、八重沢の事を想った。

今日も彼は、二つの弁当を受け取る。
それぞれの作り手の顔が浮かぶ、その弁当を。
彼は咀嚼し、活力が漲るのを感じる。
飯も上手いが、それ以上の彼を奮わせるもの。
はて、飯に描かれた『YES』とは、何を示唆しているのか。