『ここに』
「?」
『いいものがあるぞ』
そこで蛇は、かのブライダル会社のHPを開いた。
『ウエディングブライダルフェア、広報募集、だ』
「!!」
『さて、ここはどこだったかな?』
シスターは沈黙する。当然、協会でも結婚式を執り行う。挙式の経験も一度や二度ではない。
「でも……」
『私は“シスター”だろ? 私は“私”。考えてることなんざ簡単に分かる』
そうして、蛇は姦計を提案する。
『新婦役は鈴鹿詩子だ。奴は結婚に飢えている。二つ返事で了承するだろう』
『だが、奴は腐っている。新郎役のばあちゃるに牙をむくことは無い』
『そこで、貴様が大接近。一気に勝負に行くべきだ』
「……」
ここまで言っても躊躇う“半身”に対して、蛇は毒づく。
『言っとくけどな、神は万人に愛を振りまく、それはいいが、お前が欲しい愛は何なのだ? 神の愛だけで満たされるか?』
そして、畳みかける。
『“汝、姦淫を犯すべからず”。意は淫乱に成るなって事だが、一人の男にだけ向けられた情欲は、言葉を変える。“貞操”だ』
『神は多情を否定する。一方で、番いになる幸福を否定しない。だから、お前の感情は信教から言って、正しい』
『神は死後の幸福を約束するが、生の中の幸福までは担保しない。何故か? 現世での幸福は自ら掴み取るものだと神は期待していらっしゃるからだ』
『だから、』

『犯っちゃえ、シスター』
シスタークレアと瓜二つの外観の蛇は、彼女に幸福への道を指し示したのだった。

この後の事はお任せします。