6日の石川県立野球場の試合前練習を終えた中日・亀沢恭平内野手(27)が、そわそわしていた。広島の練習が始まると、ティー打撃を手伝う“ある人”に向かってダッシュし、頭を下げた。昨年に現役を引退した広島・東出輝裕打撃コーチ(35)だ。

 「育成のときに、目をかけてもらっていたんです。自分と同じぐらいの背の高さ(亀沢が1メートル74で東出は1メートル71)で、プレースタイルも似ている。“足キャラ”な感じもね。下(2軍)のときは、ちょっとしたアドバイスでよくなったりもしたので」

 2014年オフに中日入りした亀沢だが、それまではソフトバンクの育成選手だった。支配下登録を目指して、がむしゃらに汗をかいていたところで、けがもあって広島の2軍で再起を図っていた東出と出会った。

 「お前はいい選手。絶対、どこかが取るから」

 育成期間の3年目が終わろうとするころ、そんな言葉をかけてもらった。同じチームになることはなかったが、最終的にドラゴンズが支配下登録選手として獲得した。