「おっ」と思わず声が出た。まさに一瞬の判断力。そのプレーについて後日、記者の見立てを質問すると、うれしそうに笑ったのは、巨人・菅野だった。

 「マニアックですね。でも、そういう風に見て気づいてもらえると、こっちもうれしいものですよ。どんどん、マニアックに見て下さい」。

 8月24日。東京ドームでの広島戦だった。4回無死一塁、打席には3番・丸。初球、149キロのワンシームを打ち返したゴロが菅野の右足の外側を襲った。捕球できる打球だったが、菅野はすんでのところでグラブを引っ込めた。
 スルーされたゴロは遊撃手の坂本が二塁ベースの左で捕球し、二塁を踏んで遊ゴロ併殺打が完成。はたから見ればそれほど引っかからないプレーだったかもしれないが、記者は菅野がグラブを差し出しかけて思いとどまった動きに感嘆した。

 「(坂本)勇人さんには前からああいう打球には“触らないでくれ”って言われていたんです。もちろん、捕れる打球でしたけど“あっ”と思ってグラブを引っ込めました」。