「くしゅん!さ、さぶいよぉ……」
一人の少女が雪の降る中、陸上部のユニフォーム姿で外に立たされていた。
全身には鳥肌が立っており、歯をガチガチを鳴らし鼻をズルズルすすり、
白い息を吐き出して身体をちぢこめ、必死で寒さに耐えている。
摸擬マラソンでただ一人好成績を残せなかったため、こうして先輩から罰を受けているのである。
ノースリーブでへそ出し、そしてハイレグブルマの恰好は相当こたえるようだ。
いつもの強気な目線をどこぞに向けつつ、身体はすっかり音を上げている。
早く赦しを戴いて暖かい部室へ戻りたいと思うも、先輩は何時を経ても現れない。
永く寒空の下に置かれてきたため、そろそろおしっこもしたくなってきた。
しかし、今の彼女に解放は許されない。
ひたすら寒さと尿意の二重苦に耐えるしかないのである。
両脚でジタンダを踏んで気を紛らわせようとするも、寒冷は確実に体力を蝕んでいる。
さらに、座ることを許されない状態で下手に脚を動かしたものだから、
地味ながら地味なりに効く脚の疲労にも襲われてきた。
凍った涕洟で目と鼻の下に霜を作り、鼻の頭を真っ赤に染めながら、
陸上部の少女は一早い御赦しを願うのであった。