>>865のつづき。

「ほら、立ちなさい。初めてなんだから、このくらいで勘弁してあげる。」小悪魔の声に応じて、制服の女に首輪を引き上げられる。
「久々にサエの元気な姿を見られて、私は機嫌がいいの。だから、君には優しくしてあげるつもり。」小悪魔が嬉しそうに微笑んだ。
「サエ様…ですか?」男がまだ苦しそうに問いかける。
「名札を見なかった?榊紗英。君のマゾ認定した人だよ。」
サエさま…と男は小さく呟いた。麗しい女豹の姿を思い描き、はしたなくも鞭打ちで縮んだ包茎を勃起させてしまう。
それを見て、小悪魔はふふっと笑った。
「魅力的でしょ、彼女。」と微笑んだ小悪魔は…そして優しいし…と小さく独り言のように呟いた。
男はそのことよりも、「サカキ」が気になった。昨夜訪れてきた少女先輩たちを思い出す。
サカキはやりすぎ、元旦那はムジマ…
「…すみません、質問してもよろしいでしょうか?」男は丁寧に小悪魔に訊ねた。
「いいよ。許してあげる。何が知りたい?」
「…ムジマってなんですか?」
ん?という顔を小悪魔がした。「…誰に聞いたの?」小悪魔が首を傾げる。
答えないと鞭が待ってる気がした。
「き、昨日、警察署でチラッと聞こえまして…」
「君にM検掛けたコたちから?」
小悪魔が微笑む。
男は何故かギクンとした。
その様子を微笑みながら観察していた小悪魔は、顎に右の人差し指を自らの顎に当て、上を見つめながら「う〜ん…」と呟く。おもむろにその指を男の目の前につきだすと、中指で男の鼻をパチンと弾いた。うっと、男が下を向く。
「…君が知る必要は無いかな?」小悪魔が、クスクスとコケティッシュに笑う。
マゾ担当者は、マゾと疑われる住民の居る家を、地図上で◯に囲み、中に「マ」と記す。
そこからマルマはマゾ疑惑者本人を指すようになった。
それとは違い、自らマゾとして自首する者を無地のマゾ、ムジマと呼ぶ。最近はさらに略されて、ジマと呼ばれ始めてるとか。マゾ担当者の隠語なのだった。
…サエの名でムジマ、ねえ…。あのコたちったら…。
小悪魔はふっと鼻で笑った。