【ヤプー】〜限り無く絶望に近い幸福〜【外伝】
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沼 正三氏の著作「家畜人ヤプー」の世界観を基に、
自分好みの場面を書いてみました。
第壱話
【 暗黒の覚醒 】
香織はブルッと身震いした。
刺すような鋭い痛みが肌を通って体の芯を揺すっている。
やがてぼんやりと知覚が戻ってきた。 頭がズキズキと痛む。
それに体全身の節々が抜けるように痺れていた。
香織は無意識に体を拗った。
「 あッ! 」
腕にギシッと痛みが走って、思わず声を発した。
その後、乙女の頭脳は、自分が今此処に至る経過を思い起こして、痛む全身をグッと硬直させた。
“ 学校からの家路を急いでいたら、
急に眼の前が真っ暗になって、意識が消えて…………誘拐されたのだ!。
……一体此処は何処なのだろう?…… ”
昂ぶった頭脳がそれでも動物的な本能で四囲を確かめようとする。
だが、彼女の網膜は何も映じて来ない。 光を全く感じないのだ。
なんということだろうか。 焦りが湧き、幾度か瞼をまばたいてみて、
どうやら眼帯らしきもので視覚を完全に封じられていることが解った。
幾分、平静さを得てくると香織は自分の惨めな姿態をはっきりと認識し始めた。
腕は後へ廻って、壁に取り付けられた鉄環に留められているらしく、
脚は正座させられて、足首と膝がきっちりと揃えさせられている。
口中では金属製の猿轡が渋酸い味とともに舌を押さえ、
強制的に開かせれている口からは涎がだらだらと流れ出し唇と顎を濡らしていた。
首には首周りを繋ぎ目も感じさせず隙間なくぴたりと覆う重厚な首輪が嵌められており、
顎を伝ってきた涎が首輪をも濡らしている。
そして、すべすべと擦り合う膝頭と腿、二の腕を通って来る腋と背の感触・・・・・。
全裸なのだ!。 パンツ1枚さえも穿いていない。衣服はすっかり取り払われて、
乳房も、腰も、臍下に生い茂り、黒い光沢を放つ千じれ毛の茂みも露の儘、
一糸纏わぬ素っ裸のまま壁に括りつけられているのだ。
“ 暑い! ”
拘束された体をくねくねと身悶えさせながら、
香織は血が沸騰するかのような異常な暑さを繊身で耐えていた。
自分の姿を見る眼を持たぬせいか、全裸に対する羞恥心よりも、
底知れぬ恐怖と激しい暑さが溌剌としていた乙女心を真っ黒に蝕んだ。
“ これから何をされるのだろうか?…
辱かしめられるのだろうか?…
どんなことをされるのかしら?… ”
世間の悪心や汚れを知らぬ純真無垢な乙女には想像も及ばぬことであった。
ただ、おどおどと悪夢のように蔽いかぶさっているものに脅かされているだけだった。
激しい暑さが純白の肌を鮮やかな紅色に染め上げていき、
もがき苦しむ若い肉体はますます熱を帯びていく。
生れてからの18年間、暖かい絹布で愛しみ、
温湯で丁寧に洗い、クリームで毎日手入れをし、
美容のため食物まで気付かって育ててきた柔肌が今、
一糸纏わぬ素っ裸の痴態の元にその全てが曝され、
武骨な拘束具に嬲られ、わなわなと紫色におののき収縮する。
うら若い女子高生は、顎をそのふくよかな胸に着け、動かぬ背を丸め、
儘ならぬ白磁の膝を抱えこんで怯える。そして、見えぬ眼を眼帯の下でまばたき、
サヨサヨと不安に身悶えする・・・・。 すると、靴音が聴えて来た。
香織は驚きの為に、その豊かで黒く艶やか頭髪を揺らめかせた後、スクッと身を固めた。
靴音はゆっくりと彼女の真横で停まった。
膝が緩み、壁との緊縛が解かれた。
すると、その直後に冷徹な男の声が鋭く耳覚を打った。
「 シッコッ! 」
突如、たわわな双乳を棒状なものでこずかれた。
アッ! と前にのめりそうになったので、
痺れた足で片膝を立ててそれを堪えたところを、今度は後手の鎖をグイッと引き絞られ、
後方に出っ張った臀部を蹴り上げるように突き飛ばされる。
思わず前かがみによろけると、再びの棒が今度は柔らかな背肉をえぐるようにギリッと押す。
全裸の麗体は、たたらを踏んで歩き出した。
香織は息をつく暇もなかった。
意思を無視され、急所急所を巧みにつかれて、
まるで反抗する間も意思も与えない相手の見事な手際。
それは圧倒的な畏怖の念を、この全裸の虜囚に植え付け、抵抗心を殺いだ。
足枷に付いている鎖がジャラジャラと鳴り、ざらついた硬い床が柔かい踵に痛く感ずる。
まるで剣山の上を歩くが如き感触に、繊弱な白い素足は乱れながら歩んで行く。
「 マワレ ミギッ! 」
方向を命ずる過酷な声と共に、男は全裸に鎖を巻かれた囚女に思考の時を与えないように、
終始背をこずき鎖を引いた。
意思を完全に剥奪された囚心はただ、支配者の命令によろめきつつその裸体を支え、
ただ歩くことだけに専念する。
「 ウンコッ! 」
遮眼の全裸体に拘束という有様の為に、日頃の鼻息をすっかり霧散させられた女は力なく脆く。
「 イケッ! 」
上半身を棒で押さえ付けられ、踏み潰された蛙のような惨めな格好をとらされると
そのまま性器を丸出しにさせられながら、香織は命令されるがままに前へと這いずった。
固い鉄棒が脛の下に当った。
「 イソゲッ! 」
いきなり尻を蹴飛ばされた。
豊麗な全裸の肉体は、金属棒と板で構成された狭い檻の中に転がりこみ、
頭蓋骨が棒に当たり激痛をもたらした。
ガチャンッ!
金属の甲高い衝突音がした。 檻が施錠されたのだ。
靴音が遠のいていく。
・
・
・
薄暗い室内が、へばりつく様な沈黙に再び覆われた…
狭い檻の中で疼痛と恐怖に悶え慄く、全裸の乙女を、ただ一人残して………
第弐話
【 悪鬼の宣告 】
「 ビーーーーーーーッ!! 」
間もなくして低い警報音がした。
すると、部屋の天井の一部がぽっかりと割れて開いた。
そして、そこから一条のクレーンが天井を降りてきて、
開いた空間から香織のいる室内へと延びてきたのである。
クレーンの連結部分が香織の入れられている檻の天井部分に連結された。
すると 鈍い駆動音とともに、索鎖がぴいんと張って動き始めた。
それに伴い香織が入れられた檻は、空中へと引き上げられ、
先ほど開いた空間から見える上の部屋へと運ばれていった。
香織を入れた黒い金属の檻が索鎖に曳かれて上の室内へ移動して来た。
香織は見えるわけもないのに、目隠しをされた顔を左右に振り状況を知ろうともがいている。
ここにも檻がある。
しかし1つや2つではない、今香織が入れられているような、
上下四方を金属格子で組んだ犬をいれるような小さな檻が10段ほど積み重ねられ、
その「檻の柱」が室内の右側と左側それぞれの端から端まで隙間無くビッシリと並べられているのだ。
内部に白い物体が見える…… その物体は、僅かに動いている………
女だ!
素裸に剥かれた女である。
それも極度に狭い檻の為に背を倒し、脚をきっちりと折り曲げさせられ、
窮屈を通り越した圧迫の為、苦しそうに何とか呼吸をしている数百人の若い全裸の女たち である。
女たちは、香織と同じく首輪を嵌められ、繊細な手首は背で重なり、胴を巻いたベルトで留められてある。
白く細い足首からは、だらんと鎖が下っているが、装着された左右の枷は直接噛み合って、身動きを禁じている。
歩かせる時は枷と枷の錠を脱し、鎖の長さだけの歩幅で運動させるのだろう。
香織を入れた檻は、左側の奥の方に積まれた檻の頭上へ来ると停止し、
再び鈍い駆動音をさせると檻は徐々に下に積まれた檻に近づき、その上に乗せられた。
香織の、桃色の爪をつけた愛らしい足指は格子からはみ出し、
豊かに充ち張ったなめらかな尻の肉が格子によって割られている。
ふっくらとした掌は苦しさに耐えようとして、しっかりと握り締められていた。
陶器のような二の腕、附け根を絞られて盛り上がったムッチリとした肩、
波打っている細く緊った脇腹、すらりと張り伸びている脚……
それらが黒い鉄棒と対照的に皆、純白なのだ。
そして青春の血潮を弾んで流している柔肌なのだ。
これが、セーターに隠れていた乳房、これがスカートを揺らめかしていた臀部……
ほん此の間まで高嶺の大輪の花のように周囲の男たちを熱狂させていた、女のからだ………
その美麗なる肉体のすべてが露出されて其処にある。
この肩、この乳房、この腰、この尻、この腿、どれもが未知層を含んだ咲き香る女体なのだ。
他の檻でもこの狭い檻の中に閉じ込められた何百という柔らかな肉の塊たちが
窮屈そうにうめき声を上げながら蠢いていた。
そんな女たちの髪の脇から覗かれる頬から二筋、轡を締める紐と眼を覆う
サングラス型の器具が耳から後頭部へと廻っている。
サングラス型と書いたが、レンズ入りの眼鏡でなはく、
冬山などで使われる風防を兼ねた長い一枚の色板で両眼を覆う方式の眼鏡である。
その眼鏡が黒色に塗り潰してあるのだ。
檻内の動物たちは、自身では見ることの出来ない、折り畳まれた骨の疼きを感じながら荒々しく息を吐き、
黒髪を振り乱し、戻らない視覚の怯えに身悶えている。
シューーーッ………シューーーッ
ドアの開閉音のような音がした。
女たちの呻き声の中から、人がこちらに近ずいてくる音がする。
常軌を逸した状況に動転していた香織の頭脳が、新たな事態に対し再び稼動し始めた。
“ 誰か来る…
檻の中へ監禁されてしまった。
一体誰が?… どうしてわたしが?…
もう此処から逃げることは出来ないの?…
これからどうなるの?…
誰か…… だれかたすけてッ!!! ”
取り留めのないことが脳裏を駆け巡っていくうちにも、
足音は着実に香織のもとへと近つずいて来る。
そして、香織の閉じ込められている檻の前で足音は止まった。
香織は緊張のために乾ききった咽喉へゴクリと唾を送りこんだ。
折り曲げられた全裸の肉体が恐怖に縮む。
パシッ!!
いきなり右の乳房を衝かれた。
突然の刺撃に香織の体はビクンと震えたが
恐怖に支配されている香織には痛みを感じる余裕さえも無かった。
男の話し声がする。
知らない言葉が飛び交い、何かの会話をしているようだった。
一体何をしゃべっているのか?
声の主は二人の黒人だった。
一人がもう一人に話しかけている。 英語のようだ。 しかし訛りがひどい。
「 コレナンカドウダ? ワカイシ ニクズキモイイ
コイツワ イイ メス ニナルゼ 」
そう言うとその黒人は、香織の入っている檻に手をかけ、格子の上部を横に引いた。
すると格子の中央の一部に、ぽっかりと丸いくぐり穴があけられた。
黒人は手を檻の中に差し入れて香織の整った髪を掴むと、そのままグイッと引っ張り上げた。
「 うッ! 」
猿轡の下から放たれた美少女の悲鳴にもかまうことなく顔全体を格子の外へ出してしまうと扉を閉める。
円が乙女のほっそりとした首に嵌ったところで留め金をかけた。
18歳の美少女は、晒首のように檻の上に顔を載せて静止した。
「 センセイサマノ カオヲ オガマセテヤロウ 」
黒人は、サングラスの上のつまみを挟んですっと引き開けた。
黒いガラスは引戸になっていて、その下に素透しのガラスが嵌っているのだ。
ガラスは細いフレームで縁取られているだけなので美貌は損われずに表出する。
主人の都合に依って、犠牲者の視界を開けたり閉じたり出来るように作った器具なのだ。
香織は突然、射しこんで来た強い光りに眼が眩んだ。ぱちぱちと二、三度まばたいてから
「 あッ!! 」
と驚嘆の声を挙げる。
耳に入ってきた粗暴な口ぶりの会話から少しは予期していたことではあったが
乙女はやはり声を発っせずにいられなかった。
二人の黒人の大男が檻の正面に仁王立ちし、無遠慮な凝視の視線を自分の乳白色の全身へ注いでいたからだ。
カッと羞恥がのぼり、穴をみつけたい屈辱が全身を駆け巡った。
俯向きがちになった黒髪を掴まれて、ぐいと正視させられる。
黒人たちは、二人とも白い半袖のツナギを着ていて、胸元にはそれぞれ違うアラビア数字が印刷されている。
腕を組んだ黒人のほうの右手には、握り柄の先に、
何やら萎んだペニスのような皺々の物体が取り付けられた奇妙な道具が握られていた。
これが一体何で出来ていて、そして何に対して、どのように使われるかなど、
純真無垢な18歳の乙女には想像すら及ばぬであろう。
檻の前で薄ら笑いを浮かべている黒人たちは、そのテカテカと脂ぎった顔でじっくりと自分を見下している。
香織は、ぎりりと唇を噛むと瞼を床に落とした。
まるで動物園の獣のように檻に入れられている自分。
それも全身素っ裸というあられもない姿で、秘していた胸の膨らみも腰の姿も臍下の茂みもすっかり曝け出して・・・。
黒人たちのまるで獲物を愛でるかのような物狂わしそうなあの眼、垂涎せんばかりに舐めずっている部厚いあの唇、
それらすべてが香織にとっては身慄いが出る程嫌悪すべきものであった。
それなのに、まざまざと顔前に置かれて外らす術もない。
自分の無垢な全身の隅々まで貫通しているあの眼から一寸たりとも隠れる術はないのだ。
“ ああ駄目、もう私は逃れられない。
あっ、私の愛しんで来た肌は、この純潔は
こんな薄汚い檻で動物並に処分されるのか………ああ……… ”
香織の心に茫漠たる絶望が吹き通った。
美囚は首が伸びて、折り曲った筋骨の痛みが多少緩んだ気持だったが、
首で動きを停められてみると、かえって中腰になっている筋肉が強く腰部で疼き始めた。
形よい脚を擦り合せ、臀部をずらし背をのばそうとする。
そうして身じろぎする豊麗な肉体は、檻内で奇妙な曲線を描いて芸をする【動物】として観覧者を楽しませている。
室内ではヒーターが稼動していた。
しかし、それは黒人たちが、半袖の薄いツナギ1枚という衣服を纏って、
諸々の仕事をするのに適当な温度程度のものであって、
決して生命の危機を感じさせるほどの異常な温度ではなかった、
では、先程から香織の全身を苦しめている血の湧き立つ様なこの灼熱地獄は一体何なのか?
なぜ目の前の黒人たちは平然としていられるのか?
開けた視界から辺りを見渡すと、すぐ両隣の檻の中でも自分同様素っ裸に剥かれたうら若い美女たちが
窮屈そうに身悶え、猿轡に遮られながらもその下から途切れ途切れ微かに
「 …ァ…ッ…ィ… 」
と漏らしているのが聞こえた。
しかし、暑がる割りにはその全裸の肉体からは体のどこからも汗の雫一つ見受けられないのであった。
それを見て香織はハッと気付いた。
自分も汗をかいていない。 こんなに暑いのにどうして汗が出てこないのか?
乙女はくねりと身をくねらせながら、自身を襲っている不可思議な現象に新たな恐怖を覚えた。
“ いったい なにをされたの? ”
全裸の美少女が自身の肉体の変化に驚き、不安と恐怖に駆られていると
その様子を見ていた黒人の一人が、その謎の暑さの正体の一端を香織にカタコトの日本語で教えだした。
「 オイ! ヤプー! アツイカ? アツイダロウ? デモ ガマンシロヨ
ソノ アツサワ オマエガ イッピキマエノ ヤプー 二ナルタメニ ヒツヨウナ アツサナンダカラナ
モウスコシ イイコニ シテイリャ アツサニモ ナレテクルダロウヨ
ソウスリャ オマエワ シヌマデ フクノイラネエ カラダニナッテ イツデモ ドコデモ
スッパダカ ノママ ウゴキマワレルヨウニ ナルンダゼ
ソンナ ベンリナ カラダニ シテクレタ カミサマニ ヨク カンシャスルンダナ。
マッタク ウラヤマシイ カギリダゼ ハハハハハハ! ハハハハハハハ!! 」
冷酷な高笑いをしながら黒人はさらにこう続けた
「 オマエハ マダ ジブンノコトヲ ニンゲンダト オモッテルンダロウガ
オマエワ ソンナ リッパナモンジャネェ
オマエノ ホントウノ ナマエワ ヤプー ッテイウンダヨ
オマエラ ヤプーワ タダノ カチク ダカラ コンナフウニ オリ ニイレテ カウンダゼ
コレカラ オマエワ ヤプーラシクナルタメノ チョウキョウヲ ウケテ
ゴシュジンサマノ メイレイドウリニ ハタラク リッパナ カチクニ シコマレルンダ
オレタチモ オマエガ ハヤク イッピキマエノ ヤプーニナレルヨウニ ミッチリ シゴイテヤルカラ
イノチガケデ ガンバルンダナ ワカッタカ? メスヤプーサンヨ グハハハハ!!! 」
“ 服の要らない身体!?
ヤプー!?
家畜!?
調教!?
いったい何を馬鹿なことを言っているの?
いい加減にして! もうたくさんよ!! 早く此処から出してッ!!!
誰か!! 誰かたすけてーーーッ!!!!! ”
意味不明な言葉と屈辱。 そして暑さと限界にきた関節の疼痛。
黒人の言葉を借りて言えばこの若き雌ヤプーは怒りと痛みに瞳を潤ませて、
精一杯の嘆きを轡の奥から叫び放ち、拘束されている全身を力一杯揺さぶった。
黒人はその態に、ギラッと不満の眼を光らせて 、
「 コンナンデ ヨワネヲ ハクヨウジャ サキガ オモイヤラレル。
オイ! ヤプー! ドウセ ナクンナラ モット オオゴエデ ナキヤガレ! 」
そう言うと黒人は握っていた香織の髪の毛を小さく束ねて、
バリッバリッと痛みの廻るようにゆっくりと引き抜き始めた。
「 あっ! ッッ!! わっ!!! 」
乙女はビクンッと眉を眉間に寄せて悲鳴をあげた。
「 モウイチドダ! ソラッ!! 」
今度は両手で引っ張りだした。
「 あっ! あ、ああう! うっ!! ング!!! 」
ジリッと頭骸に拡がる疼痛、脳天が裂けるような激痛に香織は麗姿を凝固させて切れ長い絶叫を放つ。
香織の裸体は痛みに硬直し、両眼はカッと見開かれていた。
手が触れ合うのでさえ逡巡し、視線の合うことすら考慮していた慎ましやかな乙女が、
今や屈強な黒人によって遠慮会釈なく、まるで雌豚のように取扱われている。
そして美麗なる女は、つい昨日迄、いや、ほんの数時間ほど前まで醸しだしていた淑やかな気品をかなぐり捨て、
まさに一匹の動物のように鳴き、喚き、悶え、眼前の絶対的強者に対し哀願の眼眸を向けて許しを乞うている。
香織が家畜らしい態度をみせたことに納得したのか、黒人は香織の頭から手を離し、勝ち誇った様子でこう言った。
「 イタイカ ヤプー?
ダガナ コンナモノ チンボーノ ヒトフリニクラベタラ
ヘデモネェッテコトガ スグニ ワカルゼ ヘッヘッヘ
コレデ スコシワ ジブンノ ミノホドガ ワカッタダロ
オマエラ ヤプーニワ フクヲキルトカ モノヲタベルトカ トイレニイクトカ
コイヲスルトカ アイスルトカナンテ モノワ イラナインダヨ!!
カチクニワ カチクラシイ イキカタガアルッテコトヲ ハヤク オボエルンダナ! 」
香織はごくっと生唾を呑みこんでこくりと頷いた。 髪が乱れて白い理知的な額に垂れている。
絶望と悲哀を宿している潤んだ瞳、荒い呼気をしている小鼻、紅い艶やかな唇と磨かれた白い歯。
香織は虚脱したように頭を下に垂らし、檻の縁に額を擦らせた。
ふと横の檻に目をやると、先程まで身悶えていた全裸の女たちは、一様に全身を硬直させ、黙りこくっていた。
香織と黒人のやり取りを、その後の香織の悲鳴を聞かされた彼女たちにとっては当然の姿であった。
目隠しされ、猿轡を嵌められて歪められた顔は皆恐怖におののいていた。
香織は観念したように眼を瞑った。
その様子をみた黒人は、ニヤリと笑うとポケットから注射器のようなものを取り出した。
「 スコシ イイコニ ナッタナ ヨシ ソレデイイインダ
ダガ オマエノ チョウキョウワ マダ ハジマッテモイネー
コンナノワ タダノ アイサツガワリダ
ホンカクテキニ チョウキョウサレルノワ ヤプーナリー 二ハコバレテカラダ
ソレマデワ マダ イロイロ ヤンナキャナンネエ コトガアルカラ
ソレマデ シバラク オネンネ シテナ 」
そう言うと黒人は、檻の中に注射器を入れ香織の腕に針を刺した。何かが注入されていく。
すると、たちまち意識が朦朧としてきた。
黒人たちは他の檻に入れられている女たちにも、慣れた手つきで次々と同様の注射をしていった。
明るかったはずの未来への絶望とともに、香織は再び深い眠りの底についていった………
つつ゛く
新スレおめ
体育座りから立ち上がり深呼吸して次を待ちます
第参話
【 ドメス・テスト=家畜適正検査 】
“ あれからどれ程の時間がたったのだろうか?…
一体此処はどこなのか?…
そして… これから自分は… どうなるのか?… ”
香織は両手・両足をそれぞれ左右に大きく開かされ、直立させられていた。
香織の両脇には左右にそれぞれ一本ずつ通り穴の開いた太い金属棒が聳え立っていて、
香織の細い手首はその通り穴の中にきっちりと嵌め込まれ拘束されていた。
両腕・両脚の付根は、その金属棒から直角に伸びた4本のパイプの先に取り付けられている
4つの金属環によって厳重に拘束され、それぞれの関節の動きを封じている。
なめらかな曲線を描く両脚は左右に裂かれるように大きく開かされ、
両足首もまた金属棒に鎖で連結された足枷によって固定されていて、
正面から見ると丁度、素っ裸のままで大の字の格好をとらされているのであった。
柔らかく豊麗なる乳房。
その双子の小山の頂上に咲き誇る、鮮やかな美しい桜色の両乳頭。
下腹部から生い茂る、品良く剪定された真っ黒な千じれ毛の草叢。
それらが、この透き通るような純白の乙女の全裸体に、淫靡なるアクセントを加えている。
花も恥らう明朗なる乙女は、余す術もなく、
その華麗な全裸体を強烈な光線に晒されてグッタリとうなだれていた。
惨めさと哀れさ、香織は自身を取り巻く環境の急激な変化に心身共に疲弊しきっていた。
清らかに保持してきた処女を奪われるのかと、真っ暗な絶望に叩きのめされた檻の中。
あの肉も引き裂かれんばかりに、骨も砕けんばかりに刻み込まれた苦痛、
血の沸き立つかのような灼熱地獄。
そして愛玩動物のように弄ばれた屈辱感。
しかし、何か都合があったのか、黒人たちはそれ以上何事もなさずに注射だけをして立ち去り、
また眠らされた。
それから何時間眠っていたのかは解らないが、目が覚めると、
いきなり檻から乱暴に引きずり出され、目隠しを外され、
首輪以外の拘束具をすべて外されて、数十時間ぶりに戻った身体の自由に、
僅かな安堵の念を抱いていたのも束の間、すぐさま黒人の大男たちによって、
香織と同様に誘拐された他の女達と共に、有無も言わされずに連行され、
黒人の医者たちに依る厳重な身体検査を受けさせられた。
猶に一日、二十四時間は越えたであろう、精密な検査だった。
囚われの乙女たちは、全裸に首輪というあられもない姿を晒したまま
身長、体重に始まって体脂肪、骨密度の測定、全身の放射線撮影、血液採取、
血圧計算、脈拍、心拍数、脳波測定、そして内視鏡による口腔及び肛門からの腸内検査に
検便、検尿、さらに、聴覚、触覚、視力・動体視力・色彩感度の測定
特に味覚と嗅覚は、甘み、苦み、辛み、渋み、臭み、旨み、酸味、塩味などの味と、
天然物から人工物まで数百種類に及ぶ物質の匂いを
それぞれ何十段階にも細かく分けられた濃度で徹底的に調べ上げられ
最後に、黒人医の日本語による心理テストと
知恵の輪やパズルなどを使っての知能検査で性格と知性を分析された後、
再び拘束され、元の檻へと追い立てられて閉じ込められたのだ。
その間、一片の食物も一杯の水も与えられず、衣服は布切れ1枚さえも許されなかった。
少しでも反抗的な態度を見せれば、黒い大男たちから容赦ない罵声と体罰が加えられた。
檻の中で鎖を鳴らしながら、絶望に泣き暮れていた香織たちだったが、
いつしか疲れ果て、そのまま眠っていたようだった。 そして、その後、
いきなり乳房を蹴られて叩き起こされ、引きずり出されて今度はこの全裸大の字姿勢だった。
“ 何をされるのだろう? ”
純真な乙女心は暗闇に閉ざされる。
傍らに立っていた黒人の男が、香織の背後の壁から伸びるパイプに取り付けられた
直径20cm程の金属製の半輪を、ヘッドホンのように香織の両耳に差し込んで装着させた。
半月形の金具は香織の左右の耳と両こめかみをきつく締め上げ、
乙女の顔は動きを止められた。 目盛りの付いた金属棒が桃のような柔らかな頬に当たる。
「 タテ 20センチ ヨコ 13.5センチ 」
黒人は、顔を挟めるようになっているカギ型状の物差を用いて、
豊かな黒髪をうねらせている香織の前頭とまるい顎を挟んだあと、
顔面の縦の長さを計ってから頬骨あたりの横幅を計測し、読み上げた。
読み上げられた数値をもう一人の黒人が、手に持っている記録用ボードにタッチペンで入していく。 続いて、
「 ヒタイ ノナガサ タテ 5センチ ヨコ 14センチ
マユ ノナガサ 5.3センチ マブタ ノハバ 3.9センチ 」
男は無表情に、機械の型状でも述べるように乙女の美貌の数値を読み上げる。
次は鼻の高さ、小鼻の拡がり、鼻と口の間隔、唇の幅と厚み
顎との距離、耳の大きさ、等々と刻明に香織の美顔の構成値を計測していく。
香織の黒くつぶらな瞳は涙にぬれていた。
真正面からの強い照明がキリキリと網膜を射ち、頭芯を掻きまわす。
苛立ちが激しく波打ち、生温い男の手と冷い金属の計測器が、たまらなく煩しかった。
男たちの目を虜にした魅力的な美顔を、出来損いの泥細工のように採寸されていく事に、
清廉にして高貴なる乙女は、メラメラと屈辱の炎を燃え上がらせた。
が、それを避けようにもその繊細な乙女の顔は、厳しい拘束具によって厳重に固定されている。
悔しさに唇を噛んだ美少女は、口許を撫でている男の指にいきなり、歯を当てようとした。
しかし、1寸たりとも身動きを許されない全裸虜囚の身である香織には、それすらも遠く叶わぬことだった。
男に手を退かれ、可憐な紅色の唇を容赦なく計測器で突かれた。
「 コノ ヤプー! フザケヤガッテ!! 」
パシンッ!!! パシンッ!!!
強烈な往復ビンタが清純な乙女の頬で鳴った。
「 あああッ!」
両頬が痺れ、美貌の瞳は火花を散らして視界を消した。
「 カチクノ ブンザイデ! ナマイキナ メスヤプーダ! 」
男は、まだ胸の怒りが冷めやらぬらしく、腰に付けていたあの皺々の物体を取り上げる。
そして、握り柄を右手で強く握り締めた。
すると、それまで皺だらけの芋虫のようだった先端部分が見る見るうちに膨張し、
ピンッと張り詰め反り曲がった長さ1メートル、直径5センチ程の太長い 1本の棒に変身したではないか。
ツルツルとした光沢を帯びた矢じり型の先端部は鮮やかに紅潮し、
それに繋がる黄土色の棒からは、太い血管が浮き出てドクドクと脈打っている。
その肉棒は大きさこそ違えど明らかに人間の男性器の形をしていた。
香織が突如出現した長大な肉棒に驚愕していると、黒人はその肉棒を持った右腕をグンッ頭上に振り上げ
「 コノ バカメスッ! コレデモクラエッ!! 」
と、怒鳴りながら、振り上げた肉棒を香織の柔らかな腹部めがけて思いっきり振り下ろした。
香織は迫りくる肉棒の恐怖に全身を強張らせ、歯を食いしばった。 が、まさにそのとき
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