「 神は、汝を、御許し給うた。

        因って、汝は、
        汝の魂と肉体に巣くう、
        其の悪しき俗界の穢れを
        全能なる御神が御恵み下さった
        此の、慈愛の聖水を以って浄化するが良い。

        然して、汝は、
        穢れ無き無垢の素体へと回帰し、
        其の純正なる心身の基に神畜の契りを交わし、
        神に飼われる奉畜として生きることを誓うが良い。  」

  
  黒天使が、そう言い終えると、
  今度は、其れ迄、土下座をして、
  地にしっかりと平伏していた2匹が、
  徐に立ち上がって、美鈴の背後に密着し、
  其々が、美鈴の両手と両肩に其々の手を遣やると、
  只、呆然と立ち尽くしているだけの美鈴の体を、其の儘、
  前方の水瓶に蕩蕩と湛えられている其の【聖水】の中へと、押し進めていったのである。