【ヤプー】〜限り無く絶望に近い幸福〜【外伝】
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沼 正三氏の著作「家畜人ヤプー」の世界観を基に、
自分好みの場面を書いてみました。
「 オイ ヤプー ヨソミ シテイル バアイジャナイゼ
ホレッ ウンドウノ ジカンダ ハシレ! ハシレ! 」
「 運動?・・・・・・… …・・アッ! 」
黒人の言葉の意味を理解しかねていた香織が突然足元をすくわれて倒れ込んだ。
一体何事か?と思って顔を上げた香織は驚愕した。
動いている。 床が、動いているのだ。
あっけに取られた香織はそのまま動く床の上を運ばれ後方へと流されていく。
そして、後ろの壁に体が接触したとたん
「 アッ!!! 」
再びの電撃。 電流は壁にも流されているようだ。
通電によって飛び起きた香織は、壁から逃れようと動く床の上を走り出した。
たわわに実った柔らかな乳白色の二つの乳房が、張りのある若々しい二つの尻肉が、
彼女が左右の足を上下させる度に、プルンップルンッと波打ち、大きく揺れる。
「 ハハッ ソウダ ソノ チョウシダ ビリビリ シタクナケリャ
チカライッパイ ハシリツズケルンダナ グハハハハッ 」
「 うッ! うふッ! あふッふッ あふッ あふッ はッ はッ あふッふッ! 」
檻の向こうからの罵声と嘲笑に怒りと恥辱を感じていた香織ではあったが、
立ち止まれば電撃を食らわせられるというこの状況ではそれ所ではない。
貞淑なる乙女は迫り来る痛みから逃れようと、恥も外聞もかなぐり捨てて舌を出しながら走り続けた。
首輪一つ以外一子纏わぬ素っ裸の麗体は、肩で息をしながら躍動する。
しかし、ここでも香織の体からは汗の発散が見受けられない。
全力疾走と電撃責め、そして再びの灼熱地獄が可憐な乙女の心体を襲う。
「 グフフッ ソーレッ コンドワ コッチダ!!! 」
黒人がボタンの傍にあるパネルを操作した。
「 うッ うふッ あふッふッ あッ ふッ ふッ あッ キャアッ!!! 」
香織は尻からドシンッと勢い良く倒れ込んだ。
高速で動いていた床が突然逆方向に動き出し、それに足をもっていかれた為だった。
「 あッ! イタッ! いたァッ!!! 」
尻餅をついた香織は直ぐに立ち上がれないまま今度は逆方向の壁から電撃を受けた。
「 ホラッ! ドウシタッ! ハシレッ! モット ハシレッ!! 」
「 うッ! うふッ あふッふッ あッ!!!・… …・・うッ うッ! はふッ!! 」
黒人は檻の中の乙女に罵声と嘲笑を浴びせては、突然、不規則に、何度も床の進行方向を変え続けた。
初めは戸惑っていた香織だが次第にその仕組みを理解し、パネルを操る黒人の様子を横目で伺いながら走り、
タイミングを見計らってはスッと体を返すという動作を繰り返す。
その様子は、まるで調教師の思いのままに動かされ、芸を披露させられているサーカスの動物のようであった。
黒人のフェイントに騙され失敗することもあったが、それでも香織は何とか走り続ける。
「 うッ! うふッ! あふッ! あふッふッ! 」
こみあげてくる声を噛んで脚を上げる。 柔肌に包まれた全裸の美体がピクピクと震え、
美貌の顔が疲労と苦痛と暑さに歪む。 走り出してすでに20分近くが過ぎていた。
「 はッ はふッ あッ おッ おねッ‥ …がいッ もうッ ふッ やめてぇッ… 」
香織は思わず声を洩らし、躍動する全裸体をよじらせながら檻の向こう側の支配者に哀願の表情をみせる。
「 アマッタレルンジャネ!!
カチクノ オマエニ ユルシヲ コウ ケンリナンザ ネエンダヨッ!!
オレガ イイトイウマデ ハシリツズケルンダ!!
ホラッ! ハシレッ! バカメスッ!!! 」
黒人の大男はそう罵りながらギラギラと輝く狂暴な眼光で乙女を睨みつける。
「 そんなぁ… いやぁッ お父さんッ! お母さんッ! 誰か… 誰か助けてッ!!! 」
美貌の乙女は眉を寄せ、鼻孔を膨らませ、紅唇をわなつかせて絶叫し、艶やかな両頬からは大粒の涙が伝い落ちていた。
「 ハハッ オマエガ タスカル ミチワ タダヒトツ
ジブンワ ニンゲンダ ナンテイウ カンチガイヲ ステテ
カチクノ ホンショウヲ ウケイレテ
ハヤク イッピキマエノ ヤプーニ ナルコトダ グハハハハッ!!! 」
そう言いながら、記録係の黒人がモニターを見ながらボードを操作している。
実は、この受難の乙女による苦行の様子の一部始終は室内に設置されたカメラによって撮影されていたのだ。
躍動する乳房。震える臀部。振り上げられる腕、脚。よじれる腹部、腰、背中。
と、酷使される乙女の裸体は、その全てが余すとこなく完全に記録されていく。
誰にも見せてこなかった柔肌、ぴったりと覆っていた二つの胸の膨み、滑らかに張り充ちている腰部、
弾力と艶に満ち満ちた18歳の乙女の全裸体は、その躍動する様を隈なく撮影され、
それら女体の一部位、一部位が完全に商品視・部品視され、その性能を綿密に解析されていくのである。
走行開始から30分が過ぎた頃、ようやく動く床は停止し、電流は止み、金属棒は再び床下に戻っていった。
痛みと恐怖から開放された乙女は床に倒れこんで這いつくばり、悲しみと疲労に呆然としながらただ涙していた。
しかし、そんな哀れな乙女に近つ゛いてきた大男たちの口から出てきた言葉はこんなものだった。
「 ワンリョクワ コノグライデモ ジュウブンダナ 」
「 ダガ セッチン ニシテ ツカウトナルト
ハイキンヤ フッキン キャクリョクワ モット ヒツヨウダナ
タップリ ウゴカシテ キタエヨウ 」
黒人の大男たちは床に経垂れ込み、抵抗する気力も体力も無い乙女の全裸体を
太黒い両手で無遠慮に掴み、触り、弄りながらそう言った。
それはまさに、未調教の牛馬を、しっかりと仕事をする一匹前の家畜に仕立てようとする調教師の態度そのものだった。
香織は純白の肌を紅く染め、荒く息をしながら諦めと自尊の念の双方を胸中にて戦わせる。
しかし、それらの思念よりも彼女の心と体を強く支配しているものがあった。 渇きだ。
“ 水… 水が欲しい・・… お水… お水を… ”
香織はすでに丸二日以上一口の水も口にしていない。
それだけでも大変な事態だがそれに加えて先程の全力持久走である。
もし、この間に発汗によって水分を大量蒸発させていたなら、
香織は脱水症を起こして極めて危険な状態に陥っていたであろう。
猛烈な渇きに生命の危機を感じとった香織の肉体が、彼女の意識に水分の補給を強く要求している。
生きたい、という【動物】としての根源的本能が、それを閉じ込める理性の牢獄を突き破って香織の意識を独占する。
「 おっ お水・・… お水を・・… ください・・… みず・・… みず・・・・・
おねがい・・… ひとくちでいいから・・… みず・・… み・・… 」
床に倒れこんだままの香織は僅かに顔を上げ、香織の前に聳え立つ漆黒の大男たちを見上げて、
小さく、痰が絡み付いたような擦れた声で、念仏のように繰り返し懇願した。
生まれてからの18年間、蝶よ花よと大切に育てられ、
最上級の一品ばかりを当たり前の物として口にしてきた麗しの令嬢が、
たかが一口の水を恵んでもらう為だけに、全裸に首輪という恥態を晒しながら床に這い蹲り、
まるで飼い主を前にした犬のように、自分を嘲り弄んだ男たちを見上げ、
涙を流しながら哀願することになろうとは一体誰が想像し得たであろうか?
黒人たちの前にひれ伏す全裸女体の姿からは、
貞淑な乙女の気品や、華麗な才女の品格など、塵芥ほどにも感じる事は出来ない。
「 マッタク ダラシノナイ ヤプーダ ダガ ヨロコベ ヤプー
ツギワ オマエノ ノゾミドウリ タップリ ノマセテヤルシ
ハライッパイ クワセテヤルゾ ヘッヘッヘ
ドウダ ヤプー ノミタイカ? ノミタイナラ ヘンジヲシロ
ソレトモ ノミタクナイノカァ? フフフフフッ 」
黒人は足元に平伏している素っ裸の女体を見下し、ニヤつきながらそう言った。
「 飲みたいです・・… 飲ませてください お願いします・・… 」
飲ませてやる、の一言に香織は即座に反応し、声を張り上げて懇願した。
彼女の脳内は水を飲ませて「もらえる」という一念に占拠された。
この才知溢れる美貌の乙女を、遥か下等の動物とみなす男たちの言葉も視線も、
首輪一つに全身素っ裸という恥態も、今や彼女の意識を刺激してはいない。
猛烈な渇きと飢えと疲労による虚脱感と無力感は、
いつの間にか彼女の自尊心を極小化し、【動物】の本能を極大化させていた。
「 ヨシ ジャア サッサト オキロッ ホレッ シッコ! 」
「 はっ はい・・… 」
香織は、黒人の乱暴な命令に虚ろな声で返事をするとヨロヨロと立ち上がり、
男たちに尻を叩かれながら部屋の中央までフラフラと歩かされていった。
つつ゛く
第六話
【 セッチン・イグザミネーション=肉便器適性試験 】
全裸の美少女は、黒い大男たちに急き立てられながら部屋の中央へとやってきた。
黒人たちは香織を中央まで連れて来ると、
疲れ切り、虚ろな眼をしている乙女に大声で命令した。
「 リョウテヲ アゲロッ! 」
香織は抵抗するそぶりもみせず、言われたとおりにに両手を上げる。
“ 水を飲ませてもらえるなら 言う事をきこう ”
朦朧とした彼女の意識の中にあったのは、
とにかく早くこの乾きから逃れたいという一念だけだった。
喉の渇きを潤すためなら自分を辱め嘲笑した相手にでも懇願し、言う事をきく。
自分でも気付かぬうちに香織はすっかり謙虚に、いや卑屈になっていた。
香織が両手を上げると記録係の黒人はボードをタッチペンで操作する。
すると、香織のすぐ背後の床下から、銀色の光沢を放つ幅約80センチ・厚さ5センチ程の
一枚の金属板がゆっくりと姿を現し、
上に挙げさせられた香織の両手の高さまで伸びて来るとそこで停止した。
黒人たちはその金属板に香織の全裸体を乱暴に押し付けた。
そして、金属板の左右両端から、先程、香織の頭部を固定していた
半輪型拘束具の縮小版のようなものを四つ取り出し、
それらを香織の左右両手・両足首に被せて金属板と挟み込んだ。
半輪は電磁石になっているらしく、黒人が半輪に付いていたスイッチを押すと
半輪は金属板にピッタリと固着し、美少女の華奢な四肢を拘束した。
「 サテト ソレジャ マズワ マエ二 タヲスカ 」
黒人はもう一人にそう言うとボードを操作した。
「 あッ 」
香織が小さな驚きの声をあげた。
彼女が驚くのも無理はない。
金属板がゆっくりと曲がり始めたのだ。
厚さ5センチの金属板は、香織の腰の高さのあたりから徐々に、ゆっくりと、自動的に湾曲してゆき、
それに伴って香織の体も徐々に前方へと倒されていく。
美麗なる乙女の頭部は、金属板の無慈悲な湾曲運動によってゆっくりと床に近付けさせられてゆき、
最終的には茹で上がった海老のような姿勢を取らされた。
無理な姿勢が香織の肺を圧迫する。
「 ふうぅ・・… うッ・・… ふうぅ・・… うう・・ うッ… 」
二つに折れ曲がった金属板の内側から、小さく苦しそうな乙女の息使いが聞こえてくる。
しかし、そんな事は気にも留めずに黒人たちは作業をしていく。
「 カクド ゼロ スイヘイカ ジョウデキダナ ヨシ ツギワ ウシロダ 」
黒人はそう言いながら再びボードを操作した。
すると、今度は金属板がゆっくりと逆方向に動き始めた。
金属板は元の位置まで来ても止まらずにそのまま動き続け、香織の体を後方へと引っ張って行く。
全裸の美貌はその若々しく弾力のある絹肌を張り詰めさせながら次第にあらぬ方向へ折れ曲がってゆく。
己が身に加えられる不条理な仕打ちに苦悶の表情を浮かべながらも、
その運命に懸命に耐え続けている18歳の乙女のつぶらな瞳に、無機質な灰色の天井が淡く映る。
「 ウッ! アッ! いッ いッ いたいぃ・・… アアッ!! 」
弓のように撓らされ背骨がへし折れるかの様な体勢を取らされていく体に激痛が走り、香織は叫んだ。
しかし、そんな乙女の悲痛な叫びに黒人たちが耳を傾ける様子は全く無く、
代わりに、香檻の身体が示している高い柔軟性に対して驚きの声をあげた。
「 カクド 90・・… 85・・… 80ッ! ホーーッ! コイツァ スゲェ 」
「 75・・… 70・・… 65・・… 60!・・…
マダ イクゾッ! コイツァ ホントニ スゲェヤ 」
黒人たちが驚きの声をあげるなか香織はさらに後方へと反らされ、
全裸の女体が「ム」の字を描いたところで金属板は停止した。
「 カクド 48.2
ハジメテノ マゲデ 50ヲ キルタァ タイシタ ヤプーダ 」
「 クリスサマノ オッシャッタ トウリ
コイツァ ホントニ イイ セッチンニ ナルゼ
キンニクノ ハリグアイワ ドウダ? 」
黒人の大男は、苦悶する乙女のすんなりとした腕を掴むと、
そこから腕伝いに手を上に登らせて顔を撫で、隆起した肩を摘み、
浮き出た鎖骨を叩き、露になった脇の下を触る。
そこから上下に引き伸ばされた乳房、楕円形に変形した乳輪、
天井を向いた乳頭を触診して脇腹に至り、
さらに下って、酷い姿勢で懸命に突っ張っている乙女の脚筋を調べ始めた。
香織にしてみれば想像だに出来なかったことであろう。
無垢な体に言われの無い苦痛を与えられ、その苦痛に耐えさせられながら
一子纏わぬ素っ裸に剥かれた美体を調べられる。
才知ある誇り高き人である香織ならばこの言語道断の蛮行に恥辱の炎を燃え上がらせ、
捕らわれの美体を命一杯捩らせながら声を荒げて徹底的に抵抗していたであろう。
だがしかし、今現在の痛みに対する反応以外に香織の意識に存在していたものはたった一つ。
“ いつになったら 水が飲めるの?
お水 はやく水を飲ませて・・… ” であった。
異性に触れるどころか、視線を合わせることすら躊躇していた
純真にして貞淑無比の可憐な乙女が。
清らかな青春を謳歌し、常に人を思いやる事の出来る
温かい気持ちの持ち主であったはずのあの美少女が、
事此処に至って心に思うことが、喉を潤す水の事だったとは・・…
もはや今の彼女にとっては、全裸への羞恥心よりも、
大男たちから身心に加えられる嘲笑と罵声と苦痛の合理性よりも何よりも、
はやく水を得てこの渇きを解消したいという剥き出しの生存本能の方が完全に勝っていたのである。
華麗なる才女香織にしてみれば誠に、想像だに出来なかったことであろう。
そんな渇きに苦しむ捕らわれの美囚の各部位の様子を調べ上げた黒人は、
その仕上げに香織のピンと張り詰めた白く艶やかな腹部を無骨な拳でパンッパンッと殴った。
「 うッ! うッ!! 」
囚われの美少女は、その限界まで張り詰めさせられた
柔らかで弾力のある腹部に邪悪な拳を加えられる。
骨肉を壊するかような痛撃によって、香織はその美貌には到底似合わぬ、
まるで、声帯が引き千切れたかのような低く、鈍い呻き声をあげた。
衣服に包まれ、人目に晒される事もほとんど無かった白く柔らかな腹部は、
黒い大男の岩のような拳からの打撃によって、隕石の直撃を受けた大地のようにボンッくぼみ、
折れんばかりに撓っている背骨にまでその衝撃を伝える。
柔らかく艶やかなふっくらとした掌は激痛に空を掴み、
手枷で戒められた華奢な手首が小刻みに震えながら真っ赤に充血していく。
「 ドウダ ヤプー? マゲラレタキブンワ?
オマエワ デキノイイ ヤプーダカラ シッカリ シコマレレバ
マップタツニ オレマガル ジョウトウノ セッチンニ ナレルゼ ヘッヘッヘッ 」
黒人は、その脂ぎった顔に不気味な薄笑いを浮かべながらそう言うと、
苦悶に歪む乙女の美顔をピチャピチャと叩いた。
そして、ボードを操作して金属板を再び動かし、
反らされた香織の上半身が、床と平行になったところで固定した。
その後、さらに指令をボードに入力すると、
今度は、香織の顔面の丁度真上辺りに位置する天井部分に、直径約10センチ程の穴が開き、
そこから、給油ホースのような細長い管が、ヒュルヒュルと香織の顔面まで降りて来た。
黒人は、そのホースの先端部分を片手で掴むと、もう片方の手で香織の細い顎を掴み、
疲労困憊の乙女を怒鳴りつけた。
「 クチヲ アケロッ! 」
香織は小さく口を開けた。
はつらつと輝いていた乙女の瞳は絶望に澱み、
視点も定まらぬまま、ただぼんやりと天井を眺めている。
丸二日以上の間も一滴の水も一欠けらの食物も与えられず、
鎖と枷で雁字搦めに拘束されたままでの睡眠を強制され、
そして、大男たちからは容赦無い拷問を受け続けた香織は、
もはや思考する気力を失い、動物の生存本能が、ただ水だけを欲っしていた。
, 「 ハウッ・…・ ウッ… ウプッ・・… ウンッ… プッ・…・ 」
黒人は、半ば開いた香織の小さく可憐な口の中へ、
手に持ったホースの先端部を強引に押しこんでゆく。
美少女の華奢な口には余りある金属製の異物に、
香織は苦しみの涙を流しながら嗚咽を漏らしている。
幅約6センチ程の先端部は、香織の柔らかな口腔内を無遠慮に圧迫しながら奥へと進み、
白く輝く乙女の上歯と下歯の間に割って入った。
そして、そこから上下に伸長を開始し、まるで車体を持ち上げる油圧ジャッキのように、
香織の小さく愛らしい口を徐々に、しかし確実に開かせていく。
令嬢の紅く艶やかな唇は徐々に上下に離されてゆき、細く華奢な関節は、その極限まで大きく開かされる。
乙女の柔らかな頬肉は、極点にまで開かされた顎骨からもたらされる
肉の引き裂かれるかのようなズキズキとした鈍痛にその純白の絹肌を疼かせた。
さらに、先端部はその内部からより細く、先端に小型カメラを搭載した直径約5ミリ程の細管を出現させた。
内視鏡は、機能を制されて流れ入る唾液にむせんでいる香織の肉の洞穴内を、そこを住処とする蛇のように
縦横に動き回り、口腔、鼻腔、食道、気道、気管支、胃腸、と
香織の体内の脆弱な粘膜組織を詳細に観察していく。
一度目の内視鏡検査よりもずっと綿密で、それ故により過酷な検査であった。
口腔・咽頭部を抑止させられた無残な美嬢は、体内を這い回る内視鏡への吐気と、
それに対して咳さえも出せぬ苦しみで、ひゆうひゆうと咽び泣いている。
「 ショクドウ・・… ハイ・・… イチョウ・・… …・・イジョウナシ 」
黒人はボードとタッチペンで内視鏡を器用に操って桃色に発色している乙女の粘膜を映し出し、
画面に出された画像を見ながら、異常が無いか検査していった。
それは、まさに動物園の獣が、暴れないように拘束されながら、獣医による口内検査をされているような光景だった。
--------「 …・・ムシバ ナシ クチ ハナモ モンダイナシ ヨシッ ゴウカクダ 」
黒い大男はそう言いながら、苦しげに口中で縮み込んでいた美少女のいたいけな小さな舌を、
内視鏡でひっくり返したり、喉の奥に押し込んだりして弄んでいる。
まるで、甘い蜜に包まれた芳醇なる果実のように、柔らかで可憐な乙女の舌。
凡そ一切の汚れというものを知らぬ若く弾力に富んだ美少女の、うぶな舌。
一体幾人の男たちがこの桃色の舌帯を己が物にせんと夢見、幻の中で恋焦れていたことだろうか。
それが今や、邪悪な大男たちによって問答無用の拷問を受け、生きた玩具として弄ばれているのだ。
ねっとりと汗ばんだ顔に不気味な笑みを浮かべている黒人は、
乙女の口内でビクビクと怯えている紅くいたいけな生物をひとしきり弄ぶと、再びボードを操作した。
すると、天井の方から何やらゴーッという駆動音が聞こえてきたかと思うと、
天井から伸びている半透明のホースの中に白い液体が流れ込んできたのだ。
それを確認した黒人は、苦悶の表情を浮かべる美少女に対して皮肉に満ちた笑い顔で言い放った。
「 ホレ ヤプー オマチカネノ モノガ ヤッテキタゼ
タップリ ノムンダゾ タップリトナ ハッハッハッハッハ 」
「 アッ・…・! あッ! ああっ!! あプッ! ぶパッ! ・・…フブッ! ウップ! …・・プッ・・… 」
口に繋げられたホースから止め処無く流し込まれてくる白い液体を、
乙女は息を詰まらせ、苦しみながらも必死に、そして夢中で飲み続けた。
水ではなく、無味無臭で成分不明の謎の白い液体であったが、
極限の乾きに苛まれ続けてきた香織にとってはそんなことはどうでも良いことであった。
二日ぶりに口にした水分に心を完全に奪われた全裸の乙女は、
カッと見開いた眼を血走らせながら、白い液体をゴクゴクと一心不乱に飲み込んでいく。
----これが、あの貞淑で慎み深く、気品と可憐さに満ち溢れていた乙女の、今の姿であるとは…
異性の視線を集め、同姓の嫉妬を掻き立てた才色兼備の典型とも言うべき稀有の美女の成れの果てだとは…
艶やかで張りと弾力を備えた若々しく、瑞々しい肌。
柔らかで豊かに実った両乳房と美しい曲線美を持った臀部。
スラリと伸びた細く長い手脚。
そして、絵画か彫刻のように整った美顔。
まさしく美女の完成形とでも言うべきその肉体美は、今も二日前も何らの変わりも無かった。
しかし、まるで餓えた犬のように本能のままに渇きを癒している今現在の彼女の痴態からは、
以前の彼女から感じられたような知性も品性も理性も、もはや感じ取ることは出来なった。
「 ・・…ゴボッ! ウパァッ! …あぷッ! グバァッ! あブッ! ンッ! ・・…グピッ! パハッ!・・… 」
初めのうちは、待ち望んだ水分に我を忘れて夢中で飲み続けていた香織であったが、
やがて数分が経過し、胃袋がドクドクと流れ込んでくる液体で満たされて来ると、
今度はそれでも尚流し込まれてくる液体に対する恐怖の念が芽生えてきた。
そして、限界を超えても入ってくる液体に香織の肉体は拒絶反応を起こし始め、
なだれ込む液体を押し戻そうと強く咳き込み始めた。
涙目の乙女の美顔が咳き込む毎に上下に震えている。
しかし、そんな少女の他愛無い抵抗など効果が有る筈も無く、白い液体は香織の体内にどんどん注入されていく。
--------「 ケッコウ ハイルジャネェカ メスニシチャ タイシタ スウジダ 」
「 アア イブクロノ イチモ カタチモ セッチンニワ モッテコイダ 」
二人の大男は、ボードを見ながらまた驚いていた。
ボードには香織の体が映し出されていた。
しかし、それは体表面ではなく香織の体内、即ち、食道及び胃腸の透過映像であった。
実は、先程の香織の全力持久走の際、躍動する香織の全裸体を撮影していたカメラには、
通常の光学撮影機能の他に放射線撮影機能が備わっており、
今香織の体内に注入されている白い液体は放射線撮影の為の造影剤だったのだ。
ボードの画面には、折り曲げられ変形した乙女の体内に流れ込んで食道を通り、
胃に溜まっていく白い液体が、黒い影となって映し出されていた。
18歳の美少女の胃袋が、造影剤によってパンパンに膨れ上がっていく。
「 ノミ ワ ゴウカクダナ ヨシ ツギワ タベ ダ 」
膨張した乙女の胃袋を確認した黒人はそう言うと液体の注入を停止し、新たな指令を入力した。
すると今度はシュウ−ッという音をさせながらホースが吸引を開始した。
その後、黒人は香織の傍に近つ゛くと
「 ハケッ!! 」
と大声で怒鳴り、張り詰めパンパンに膨れ上がった香織の腹部に、再び強烈な打撃を加えた。
------「 ンウッ!!! ウボッ!! バァハッ!!! ウゴッ!!! ブバッ!!! 」
乙女は大男から再び加えられた巨大な拳に悶絶し、新鮮で玲瓏なる宝玉のような肌は痛撃に打ち震えた。
そして、その腹部から拳の苦痛にも勝るかのような不快痛が胸部を這い上ってくる。 逆流の圧迫だ。
胃袋に溜まっていた造影剤が咽喉下の食道を駆け上がり、勢いよく口腔内に逆流してきた。
そして、溢れ出してきた吐しゃ液を、香織の口に入り込んだホースが
ジュルジュルという不快な音を立てながら吸い込んでいく。
嘔吐によって呼吸が止まった乙女は、その秀麗な顔を嘔吐感と苦痛に歪め、
つぶらな両眼からは、苦悶に瞬く度に大粒の涙がポロポロと流れ落ちた。
清麗な18歳の生娘は、罪なく受ける死線の苦しみにその美顔を涙と唾液で汚し、腹の底から慟哭した。
・
・
・
やがて、胃に納めていたものを全て吐き出し終えた美少女は、舌に纏わり付いた酸味をもった胃液に
顔を曇らせながらも正常に戻った呼吸に、ほおっと安らぎの息を吐いた。
しかし、それも束の間、今度は先程の白い液体から水分を減少させたようなねっとりとした固形物が、
天井の方から押し出されてきて、香織の口内に向かって白蛇のようにホース内を進んできているのだ。
黒人はそれを見ながら薄ら笑いを浮かべると、新たな拷問への恐怖に慄く全裸虜囚に言い放った。
「 ホレッ ヤプー ツギワ タベ ノテストダ シッカリ クエヨ グフフフフ 」
「 いッ・・… いはァ!… いはあああああああ!!!!!! 」
口中に押し込められたホースによって発語を制されている乙女は、
ままならぬ舌と口を命一杯動かし、己が口腔へ迫り来るその長大な白蛇に絶叫した。
いつ終わるとも知れぬ無間地獄に、乙女は両頬を涙で濡らしながら、意識が遠のいていくのを感じていた………
白人に生まれながら唇人形に改造された平民ディック?
あんなにも萌える
体育座りして待ってます
すみません。
現在、必要な用事があるので、書くことが出来ません。
ですが、このスレッドを立ち上げたときには結末まで考えていたので、
大まかな流れや場面は思い描いてありますし、最後まで貫徹するつもりでいます。
ですから、出来れば気長に待っていただけると幸いです。
第七話
【 昇天
神世界へ 】
ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鈍い駆動音が壁越しに聞こえてくる薄暗く窮屈な直方体の空間の中で、
美貌の乙女は今にも途切れそうな華細い呼吸を繰り返していた。
美しいその顔からは、生気が消え去り、露わとなった全裸の肉体は
呼吸による腹部の僅かな収膨を除いてはピクリとも動かない。
それはまさしく、生ける屍というべき有様であった。
香織は定まり難い意識のもとで、ただ呆然と漆黒の壁面をその瞳に映しつつ、
あの言語に絶する地獄のような肉体検査と
最後に大男が言い放った捨て台詞の事を思い返していた。
漆黒の大男達によって口内に注入管をねじ込まれ、
そこから、白い液体と粘着質の固体を流し込まれ、胃袋の容量と形状、
及び咽頭の嚥下力を強制的に計測された香織は、
最後に黒人の鉄拳を打ち込まれて胃の内容物を全て吐き出させられた後、
ようやく拘束台から開放された。
疲労困憊の香織は、自ら動く事も間々ならず台の上でグッタリとしていたが
男達はそんな衰弱しきった美少女に休む間も与えず、
香織の両手・両足を乱暴に掴み上げ、そのまま部屋の壁面にまで運んだ。
そこで黒人は、壁面のボタンを操作して壁面を開口させ、
その奥に設けられていた犬小屋程度の大きさの四角い空間を出現させると、
その中に、まるでゴミ捨て場にガラクタでも捨てるかのように
無抵抗な香織の全裸体を強引に押し込んだのだ。
そして、黒人達が皮肉に満ち満ちた薄ら笑いを浮かべながら
「 オイ ヤプー
オメーノ セイノウ テストモ イマノデ シマイダ
アトワ ヤプーナリー ニ ツクマデ オリノ ナカデ オネンネシテナ 」
「 へへッ イヨイヨ ジャバン トモ オサラバダナ グフフフフッ 」
と言った後、扉を閉めてボタンを操作した。
すると、香織が押し込められたその空間は、ゆっくりと扉を閉じ、
そのままエレベーターのように下層へと潜って行ったのだ。
「 ・‥… じゃ・・ばん…・・
いったい… 何のこと・…・?
あたしは・・… どこへ連れて行かれるの・・…・? 」
香織が答えの見えぬ疑問に苛まれていると、突如エレベーターが下降を停止した。
そして、その直後、エレベーターの扉が開かれ、
扉の向こうから強烈な光の線が香織の網膜に照射された。
直前まで薄暗い部屋の中に置かれていた為、急な光に一時視界を奪われた香織であったが、
やがて瞳が絞られ、外界の環境に適応してくるのとともに、
乙女は、その眼前に広がる世界を、徐々に認識し始めた。
・
・
・
・
・
「 サッサト ススメッ! 」
「 グズグズ スルナッ! ハヤク ハイレッ! 」
視界に入って来たのは行進であった。
全身を拘束具で戒められた全裸に首輪の人間達が、
屈強な黒人の大男達に、あの奇怪な肉の棒で小突かれながら
複数の列に分けられながら行進させられている。
その列の殆どは、香織と同じ若い女性達の全裸体によって構成されていたが、
若干だが若い全裸の男性達による行進も見られる。
彼等が行進させられている空間は、全面が灰褐色で、
床から天井までの高さが50〜60メートル。
香織の出てきた壁面から反対側の壁面までの距離が
500〜600メートルを裕に超えるような広大な空間で、
左右の両端は遠すぎて見通すことさえも出来なかった。
未だかつて眼にした事の無い巨大な構造物と、
その中で行われている超然とした光景に圧倒され、
香織が、心身の疲労を忘れ、ハッと息を飲み込んだ時、
「 デロッ!!」
という大男の怒声が聴覚を打ち、
空かさず両腕を掴まれて強引にエレベーターか引き出された。
エレベーターの出口には、その出口と同じ幅で、
長さ5〜6メートル程の滑り台が連結されており、
小屋から引きずり出された香織は、
そのまま滑り台の上をスルスルと滑り落ちて行き、
幅1.5メートル程の細い通路に到着した。
「 いたッ… 」
着地の際に頭を軽く打ってしまった香織は、
片手で後頭部を庇いながら、もう片方の手を床に付け、
仰向けに寝転んでいる上体を起こして無意識に辺りを見渡す。
・
・
・
周囲に広がっている光景は、またも乙女の心を仰天させ、
新鮮なる肉体の隅々までをも、一瞬にして硬直せしめた。
「 ……なんなの…… …これ… 」
>>70
保守。 有難うございます。
ですが、まだここまでしか書けておりません。
大量に投下するには、まだ時間が掛かると思われます。 70ですが、作者殿ぐわんばれ。
このスレが好きな人ならこれも好きかな?
ttp://www1u.kagoya.net/~bobcat/DML/DMLtop.htm
ttp://www1u.kagoya.net/~bobcat/ZA/zam.htm
ttp://www1u.kagoya.net/~bobcat/sy/s2.htm
ttp://www1u.kagoya.net/~bobcat/DM/dmtop.htm
ttp://emithiyan.h.fc2.com/column/kyousan/kyousantop.html >>78
素晴らしいですね。
ですが、1つ目のリンク先の“スケッチ集「奴隷民族への道」”
が開かないのは何故なのでしょうか? 最初の頃から繋がらなかった気がします
今日も大掃除しながら保守 沼正二さん、すばらしい筆力ですね。そのうち♂の靴具畜やあまり日の当たらない
足裏蒲団でこってりとした仕上がりの作品を書いてください。女主人の履く靴との
結婚式や隷属式のようなものを入れてくれると嬉しいです。消耗品としての
ヤプーに憧れる者です。
>>84
新年明けまして、おめでとう御座います。
>>85
靴具畜は、当初から書く対象の一つです。
足裏蒲団につきましては、対象外ですが考慮します。 沼さま
85です。ありがとうございます。正座してお待ち申しております。
駅の階段で、勝ち誇るようにブーツの底を打ちつけて歩いている
女性や、夏場けたたましくミュールの音を響かせている若い娘、
何気なく足を組んで靴をゆらゆらさせている娘を見ると、足裏蒲団
になってみたいと思ってしまうんです。
女性の所有物である履物よりはるかに価値の低い卑小な消耗品として
精一杯自分の主人である靴のために悩み、生きる姿を自分に重ねたいと
願います。
いままでの香織の絶望と、空間の描き方のディテールのすばらしさに
感激しています。香織以上の絶望と恥辱(裏返せば至福)を与えてく
ださい。
どうぞよろしくお願いします! >>86
あの〜。
ヤプムも出て来るんでしょうか? 足裏蒲団、沼さまの興を殺がないよう、あれこれと差し出がましい注文は控
えたいと思います。
ただ…、それまで生きた矮人ヤプーの生の重みや経験などより、その日女主人
の靴底にできた一筋の瑕や汚れの方がはるかに重大な事実であるような、また、
流麗なラインを誇るヒールにわずかの瑕が生じるのを避けるためなら自らの
顔面に鉈を打ち込まれるのをさえ厭わず、ヒール底がささくれるのであれば
自らの頭部が石榴のように割れてもなお平安を得られるような世界観を実現
していただければと願います。崇拝するお方様の靴底の突起や凹凸、刻印さ
れた文字は、自分にとっては天界の文様で星座に匹敵するのです。足裏の
数秒間のそれも気まぐれな快楽の維持のためならば、悶絶死とて福音となるの
は間違いがありません。じっくりとその時を待たせてもらいますね。
毎夜、女主人に贈られた靴の付属品として共に従った十数人の矮人ヤプーの
一人として奔放な振る舞いを畏れながらも献身する悦びに浸っています。
「邪蛮」にあっては、香織様のような方に対しても同胞たちは同じような夢
を抱くでしょうね。 沼 正二 ◆AmWxoCKUfkへ希望書いてる人はヤプー願望スレの方が向いている気がしてきた・・・ 四肢を切断された生きた靴の中敷き。地面に靴が接触するときのショックを
やわらげたり足裏の汗や脂、臭いを吸い取ったりする。足裏に吸い付くよう
で踏み心地は最高。イース貴族の靴に入っている。寿命は1年。
でも、靴自体がダメになったら靴に合わせて採寸されている足裏蒲団たちも
一緒に廃棄されちゃうんだろな。 新作ができた様です
ttp://www1u.kagoya.net/~bobcat/DML/7S/7s1.htm >>96
本年の4月以降になると思われます。
>>97
大変、興味深い作品ですね。
私も、いつの日か自分の書いた文章を、
漫画かCGによって画像に変換してみたいものです。
作者タン、待ってます。
クリスさま萌えです。
というわけで100getです。 >>98
4月からなどとおっしゃらず、
少しでもいいので(できれば第7話のおわりまで)
早く投下してくらハイ。
お願いチマツ。
こんな萌えまくりな家畜小説は初めてデツ。 改めて、投下します。
第七話
【 媚肉の河 】
ゴォ――――――――――――――――――――――――――
鈍い駆動音が壁越しに聞こえてくる薄暗く窮屈な直方体の空間の中で、
美貌の乙女は今にも途切れそうな華細い呼吸を繰り返していた。
美しいその顔からは、生気が消え去り、露わとなった全裸の肉体は
呼吸による腹部の僅かな収膨を除いてはピクリとも動かない。
それはまさしく、生ける屍というべき有様であった。
香織は定まり難い意識のもとで、ただ呆然と漆黒の壁面をその瞳に映しつつ、
あの言語に絶する地獄のような肉体検査と
最後に大男が言い放った捨て台詞の事を思い返していた。
漆黒の大男達によって口内に注入管をねじ込まれ、
そこから、白い液体と粘着質の固体を流し込まれ、胃袋の容量と形状、
及び咽頭の嚥下力を強制的に計測された香織は、
最後に黒人の鉄拳を打ち込まれて胃の内容物を全て吐き出させられた後、
ようやく拘束台から開放された。
疲労困憊の香織は、自ら動く事も間々ならず台の上でグッタリとしていたが
男達はそんな衰弱しきった美少女に休む間も与えず、
香織の両手・両足を乱暴に掴み上げ、そのまま部屋の壁面にまで運んだ。
そこで黒人は、壁面のボタンを操作して壁面を開口させ、
その奥に設けられていた犬小屋程度の大きさの四角い空間を出現させると、
その中に、まるでゴミ捨て場にガラクタでも捨てるかのように
無抵抗な香織の全裸体を強引に押し込んだのだ。
そして、黒人達が皮肉に満ち満ちた薄ら笑いを浮かべながら
「 オイ ヤプー
オメーノ セイノウ テストモ イマノデ シマイダ
アトワ ヤプーナリー ニ ツクマデ オリノ ナカデ オネンネシテナ 」
「 へへッ イヨイヨ ジャバン トモ オサラバダナ グフフフフッ 」
と言った後、壁にあったボタンを操作した。
すると、香織が押し込められたその空間は、ゆっくりと扉を閉じ、
そのままエレベーターのようにゆっくりと下層へと潜って行ったのだ。
「 ・‥… じゃ・・ばん…・・
いったい… 何のこと・…・?
あたしは・・… どこへ連れて行かれるの・・…・? 」
香織が答えの見えぬ疑問に苛まれていると、突如エレベーターが下降を停止した。
そして、その直後、エレベーターの扉が開かれ、
扉の向こうから強烈な光の線が香織の網膜に照射された。
直前まで薄暗い部屋の中に置かれていた為、急な光に一時視界を奪われた香織であったが、
やがて瞳が絞られ、外界の環境に適応してくるのとともに、
乙女は、その眼前に広がる世界を、徐々に認識し始めた。 「 サッサト ススメッ! 」
「 グズグズ スルナッ! ハヤク ハイレッ! 」
視界に入って来たのは行進であった。 全身を拘束具で戒められた全裸に首輪の人間達。
それらが、屈強な黒人の大男達に、あの奇怪な肉の棒で小突かれながら
複数の列に分けられながら行進させられている。
その列の殆どは、香織と同じ若い女性達の全裸体によって構成されていたが、
若干だが若い全裸の男性達による行進も見られる。 彼等が行進させられている空間は、全面が灰褐色で、
床から天井までの高さが50〜60メートル。
香織の出てきた壁面から反対側の壁面までの距離が
500〜600メートルを裕に超えるような広大な空間で、
その空間内を、長大な支柱が無数に通っており、
左右の両端は遠すぎて見通すことさえも出来なかった。
未だかつて眼にした事の無い巨大な構造物と、
その中で行われている超然とした光景に圧倒され、
香織が、心身の疲労を忘れ、ハッと息を飲み込んだ時、
「 デロッ!!」
という大男の怒声が聴覚を打ち、
空かさず両腕を掴まれて強引にエレベーターか引き出された。
エレベーターの出口には、その出口と同じ幅で、
長さ5〜6メートル程の滑り台が連結されており、
小屋から引きずり出された香織は、
そのまま滑り台の上をスルスルと滑り落ちて行き、
幅約2メートル程の細い通路に到着した。 「 いたッ… 」
着地の際に頭を軽く打ってしまった香織は、
片手で後頭部を庇いながら、もう片方の手を床に付け、
仰向けに寝転んでいる上体を起こして無意識に辺りを見渡し、
それを、視た。
・
・
・
周囲に広がっている光景は、またも乙女の心を仰天させ、
新鮮なる肉体の隅々までをも、一瞬にして硬直せしめた。
「 ……なんなの…… …これ… 」
・
・
・
香織の眼に入ってきたもの……
それは、「列」であった。 果てしなく続いている細く長い黒色の通路。
その上に、香織同様、首輪一つ以外は皆無という
素っ裸の姿のままで、仰向け、横臥、うつ伏せ、四つん這い等、
様々な体勢で、ほぼ等間隔に置かれた、
何十、否、何百という数の全裸の人間達によって作り出されている
長大なる一本の肉の隊列であった。
その肉列の構成材料とされている人間達は、
一目するとその殆どが、香織と同じ十代後半から、
或いは二十代前半と見受けられる、うら若い女性達で、
その何れもが艶やかな肌と、健康的で均整のとれた肉体美を有しており、
もし街中で擦れ違ったとするならば、性の男女を問わずに、思わず
ハッ、と振り返らずにはいられないような粒揃いの美女達ばかりであった。
しかし、その乙女達の可憐な美顔のどれ一つとして笑顔の花が咲いているものは無く、
哀れにもその表情は、悲しみ、怒り、憎しみ、不安、といった暗黒の思念のそれであり、
さらには、深々たる絶望に飲み込まれてしまったために、
表情どころか感情そのものが消え失せたかの様に、
只、漫然と途方に暮れている者の姿も見られた。
そして、自分自身もまたこの肉列の一部とされてしまっている香織は、
この異常な光景に眼と心を奪われて気付くのがやや遅れたが、
よく見ればこの通路、 動いているのだ。
音も無く静かだが、小走り程度の速さで動いているのである。 眼を点にし、生唾をゴクリと一飲みした後、
香織は、改めて、また辺りを見回した。
進行方向から見て左側は、灰褐色で、
高さ約6メートル程の垂直な壁が途切れることなく延々と聳え建っていた。
そして、右側は、仰角約45度、長さ約5メートル程の、銀色に輝く斜面になっており、
その先に、先程、香織が通過してきた滑り台と同じものが約30メートル毎に設置されていて、
さらに、その先には、やはり香織が出てきたものと同様の四角く小さな搬出口が存在していた。
そして、その扉が開く度に、中から丸裸に剥かれた人間が出現し、
出口の両脇で待ち構えていた二人の黒人達が、
「それ」を乱暴に掴み取っては滑り台に引っ張り出し、
この無機質な渓谷の下を流れる「人肉の川」へと、次々と流し落とし、
滑り落とされた人体は、銀色の斜面を下って、この移動通路の上を流されていく……
そんな光景が、この長大な空間のなかで、
凡そ香織の眼の届き得る範囲の前方から後方までの総てにおいて、
延々と、無数に、果てし無く展開され続けているのだ。 何という異世界。
これが果たして現実のものなのか?
こんなことが現実に起こり得るのか?
これは夢か幻、空想の世界の産物ではないのか?
…これは幻。
きっと自分は今、悪い夢を見ているんだ。
こんなことが本当に起こる筈が無い。
いや、起こってはいけない。
そう、これは、夢……悪夢なんだ………
香織は、自分は、只、悪夢に魘されているだけなのだと、
これは、現実では無い、事実では無いのだと思った。
いや、そう思いたかったのだ。
きっとそうだと、信じたかったのだ。
これが、揺るぎようの無い現実であるこということを、
どうしても認めたくなかったのだ。 だが、しかし、
今、この通路の上を風を切って流され続けて得ているこの感触は、
間違うこと無き現実感覚のそれであり、
あの密室と檻の中で、
厳しく凶悪な黒人達から放たれた
あの嘲笑、罵声、怒声。
云われ無く骨身に受けた
あの電撃、疾走、屈曲、鉄拳。
そんな拷問によって味合わされた
あの苦悶、苦痛、苦渋といった、乙女の心を魂芯より悄然たらしめる巨大な悪感……
その何れもが、圧倒的な現実感と実体的重みを伴って、
無垢な乙女の心身に加えられたのであり、
それは、誰よりも香織自身が、はっきりと思い知らされ、
その意識に、深々と刻み込まされているのである。
故に今、彼女の眼前に広がっている、この光景も、
此れまでに彼女が受けてきた、あの経験も、
そして、彼女がこれからを過ごしていくことになる、その世界も、
まさしく、抗いようの無い、厳然たる 【現実】 そのものなのである。
“ ………どうして?………
どうしてなの?………
どうしてあたしがこんなめにあわなくちゃいけないの?………
どうして?………
……どうしてよ………… ”
清廉潔白にして流麗無比たる美貌の乙女は、
この世に生を受けてからの十八年余の歳月のなかで、
初めて己が身に降りかかった自身の運命を呪った。
悲愴なる美少女は、その白く柔らかな諸手で漆黒の硬地を掴み、
しなやかな背を丸めてガクリと肩を落とし、
黒光りする豊かな頭髪を床に垂らしながら美顔を俯かせ、
鮮やかな紅唇を、その白亜の麗歯でグッと噛み締めて、
無言のうちに、只、涙し、その魅面を悲哀と絶望に濡らした。
そして、そのままのうちに沈鬱な時間が暫しの間流れた頃……… シュウィ―――ンッ…キャ――ッ!…シュウィ―――ンッ
・
・
シュウィ―――ンッ……イヤ―ッ!!…シュウィ―――ンッ
悲運の乙女が顔を伏して悲しみに咽んでいると、
何やら機会の駆動音のような不可解な音に挟まれながら、
女達の泣き叫ぶ声が、香織の前後から聞こえだしてきた。
そして、それまで一様に疲労と絶望に打ちひしがれ、
沈み込んでいた香織の周囲が、にわかにざわつき始めたのだ。
何事か、と香織は顔を上げた。
前方を見ると、香織と同様に素っ裸の女性達が無数に流されていた。
悲しむべき光景ではあるが先程までと特に変化が無いので
香織が目線を他に移そうとしたその時。
乙女は目撃した。
そして、その事態に驚愕し、
涙に潤み、充血したその両眼を大きく見開いた。 進行方向の左側に聳え立ち続いている灰褐色の壁。
その壁面の、床からの高さが約1.5メートル、幅約2メートルの部分が、
突如壁面の奥に向かって引き上げられたのだ。
するとその開口部から、ポッカリと口を開けた真っ暗な空間が出現し、
その開口部の、最も近くを流されていた女性を、通路の端へとシュルシュルと引き寄せ、
そのままその暗闇の内部へと飲み込んでしまい、その直後、また瞬時に扉を閉じたのだ。
一体どういう事なのか?
その原理・構造は、香織達には全くの不明だったが、
とにかく、壁面の其処彼処が突如開口し、
辺りの人間を一人ずつ、次々と飲み込んでしまっているのだ。
香織は咄嗟に立ち上がった。
此れまでの肉体酷使の為に、両脚はピクピクと震え、
全身の筋肉細胞が悲鳴を上げていたが、
逃げなくては、という無意識の直感が働き、
香織は疲弊した体に鞭を打って横を向き、銀色に輝く斜面に向かって身を屈めた。
”あそこに飛び付ければ……”
香織は胸の内でそう思った。
しかし、それと同時に、「あの時」の映像が彼女の脳裏を駆け抜けた
その残像が頭から離れず、其処へ飛び移るのをどうしても躊躇してしまうのだった。
香織が自らの恐怖心と相対して時が過ぎていく間にも、
周りでは、通路の上を逃げ惑うか、
または、観念したようにジッとしたまま動かない他の女性達が、
一人、また一人と暗闇の奥へと浚われている。
それを横目で見ていると、ついに香織の目前で壁面が開口し、その暗部を現した。
すると、香織の足と接触している部分だけが、それ以外の場所とは異なる動きを開始し、
香織の体を開口部へと引き寄せ始めたのだ。 このままでは飲み込まれる。
香織は、ついに意を決し、最後の力を振り絞って勢い良く足を伸ばし、
銀色に輝く斜面に向かって大きく跳躍した。
全裸の麗体が美しい放物線を描きながら空を舞った。
そして、そのしなやかな曲線美が斜面に映し出され、
その肉体美の持ち主に、己が姿を認識させたとき、
また、「あの時」の情景が乙女の脳内を走駆し、直後に美体は着地した。 その途端。
「 アァーーーーーーーッ!!!!!! 」
麗しの魅肉は痛撃に縮み上がり、もんどりを打って斜面を転げ落ちた。
電流は、やはり此処にも流されていたのだ。
” さっきは…流れてなかったのに…… ”
と、哀れなる乙女は、激痛に悶えつつ、後悔と怨嗟の念を心中で澱ませながら
そのまま暗黒の内部に飲み込まれてゆき、無情にも扉は閉ざされたのだった……
つつ゛く
次回、第八話を【 昇天 神世界へ 】とさせて頂きます。 作者タン。
ありがとうございマツ。
次のお話待ってマツ。
あと、もう少し漢字を簡単にしてくれるともっと嬉しいでツ。
いや、これぐらいの文章とそれに伴う漢字は憶えよう。
雰囲気が損なわれる。
第八話
【 昇天
神世界へ 】
「 ……アッ!…ィッ…たい…… 」
未だ覚めやらぬ通電の疼痛に苦しみながら、
香織は真っ暗闇の狭い通路の中を流され続けていた。
通路内部は、開口部よりもさらに小さくなっており、
縦・横、共に1メートル程しかないため、立ち上がることは適わず、
香織は頭を進行方向に向けて仰向けになりながら、ぐったりとしていた。
もはや動く気にもなれない。
香織は、只、呆然と、見えない天井を眺めながら、
無機質な機械のなされるが儘にされ、真っ暗闇の中を、
時には右へ、或いは、左へ、と四角い通路内を、行き先も解らぬままに運ばれ続けていく。
そんな行程を何度か繰り返して数分が経過した時、
ドサッ!
香織は、又も頭部を地面に打ち付けられた。
その鈍痛によって、朦朧としていた香織の意識は呼び戻された。
香織は痛みに顔を顰め、後頭部を擦りながら上体を起こした。
ここも相変わらず完全な暗闇で、視覚は奪われている儘なのだが、
彼女の三半規管や触覚は、自身が今、静止している可能性を示唆していた。
どうやら、或る空間へと放り出されたようである。
現在の状況を知ろうと、香織は痛む腕を伸ばして辺りをまさぐった。
すると不意に、柔らかで、すべすべとした、心地良い肌触りの物体に彼女の指先が触れた。
その感触は、まさに人の肌。
それも、弾力と張りの有る、瑞々しく若々しい女肉だけが持ち得る感触のそれであった。
肌触りだけでは無い。
耳を澄ませば、暗闇の空間内の其処彼処から、
可憐な乙女たちの、深い悲哀が染み込んだような華細い啜り泣きの声が聞こえてくる。
此処は、やはり通路上ではなく、どこかの室内のようだ。
いや、室内というよりも倉庫の中というべきか。
音の反響や、泣いている女性達の数から類推するとかなりの広さのようだ。
何れにしても、相当な数の女性達がこの暗室の中に閉じ込められていることは確かである。
香織が、さらに状況を把握しようと四つん這いになり、手探りしながら進みだした時、
彼女の背後でドサッという音が鳴り、同時に香織の足元に他の誰かの足が当たった。
恐らく、香織が先程放り出されて来たのと同じ所から、同じように此処へ運ばれてきた来た人のものであろう。
香織は向きを変え、その顔も見えない相手に近付き、
「 大丈夫ですか?… 痛くないですか?… 」
と、地に伏せ、不安そうに咽び泣いているその人を優しく起こし、後ろからそっと抱きすくめた。
「 …あッ… うッ… あッ… …ありがッ… …とう… んッ… 」
その女性は、香織に対し、嗚咽に言葉を詰まらせながらも、
精一杯の感謝の言葉を述べ、廻された香織の両腕を、ギュッと握り締めていた。
香織はその女性に、胸の奥底がジンと疼く様な感覚を覚えていた。
自分よりも弱い物への憐憫というか、慈愛というべきか。
無論、香織自身もまた、この腕の中の女性や、
室内に閉じ込められている他の女性達と同じ境遇である事に変わりは無い。
しかし、それでも尚、このように不安に怯えている他者の存在を知ったからには、
手を差し伸べずには居られないのだ。
自分一人では、涙を流し、不安と絶望に押し潰される事があろうとも、
他者に対しては殆ど無意識的に、暖かく接し、我が身に変えても支えようとしてしまうのだ。
清らかなる美少女香織の美しさは、その類稀なる端麗な容姿や、洗練された品性もさることながら、
何より正しく、この純真無比にして博愛無尽なる、この美しき心によって成り立っているのである。
それを思えば、
かくの如く善良なるこの乙女が、何故あのように残酷な仕打ちばかりを受けねばならないのか?
現実とは、運命とは、神とは、どれほどにこの乙女に絶望の苦しみを味合わせ続けるつもりなであろうかのか?
それとも、この限り無く続くかのように思われる絶望の果てに、この乙女にとっての真の【幸福】が待っているのであろうか?
その答えは、未だ果て無く遠い。
香織は、己が胸の内で不安に震えるその女性を抱きしめながら後退りし、
部屋の四隅の一角と思われる場所まで移動した。
右肩に、また別の誰かの背中が当り、近くからは先程よりも大きな泣き声がより多く聞こえてくる。
暗黒の中、皆で寄り集まり、互いの存在を確かめ合うことで、僅かでも心の安定を得ようとしているのだろう。
そんな、華弱い乙女達が暗黒の中で恐怖と不安に慄き続けている間にも、
あの出口からは、間隔を置いて、一人、また一人と、時間の経過と共に、
新たな犠牲者たちが、次々と追加され続けている。
それを音で感じながら香織は、或る考えに思い至った。
” ……みんな、ここに集められているんだは……
……選別されて…… …仕分けされて……
……この……… ………商品倉庫に……… ”
極度の疲労があるにも拘らず、明晰なる才女香織の頭脳は、
此れ迄の一連の過程から、この暗室の正体が一体何なのかを、
そして、何故、此処に閉じ込められているのかを、謎めく漆黒の水底から見つけ出していた。
あの、地獄の拷問の様な数々の所業が、只、嗜虐を目的としたものでは無く、
寧ろ、其々の人間達の商品価値を見極める為の「選別」の作業であったことを、
且つ又、先程までの、移動通路から此処までの行程に於いては、
あの動く床は、選別された商品を運ぶためのベルトコンベアーのようなものであり、
その上を運ばれて、右へ、左へと動かされていった過程は、
貨物集配センターに於ける出荷商品の「仕分け」作業のそれであることを。
だとすれば、今自分達が閉じ込められている此の暗室は、
選別され、仕分けされた商品が目的地へと出荷されるまでの間、
商品を保管しておくための、「商品倉庫」なのだということを。
そして、才女は、その漲る知性を動員して、更なる展開を予測した。
” ……ここが、その為の倉庫なら
此処が一杯になるか、または、ある程度の時間が経ったら…… ”
香織の的確な推理が、この先の展開にまで至ろうとしていたまさにその時。
ガコンッ!!!
グゥォヲア――――――――――――――――――――――――――
香織達の閉じ込められている暗室が、突如、巨大な轟音を立て始めた。
そして、内臓を下へ引っ張られているかの様なこの感覚…
間違い無くこの暗室は動いていた。
部屋そのものが、轟音をたてつつ、上へと向かって上昇しているのだ。
女達は、突然の事態に動転し、或る者は悲鳴を上げ、また在る者は泣きじゃくり、
皆、恐れと不安に全身を震えさせながら身を寄せ合って苦しんでいた。
香織の腕の中で震えていた女性も、その震えを一層強め、
握っていた香織の腕を、さらに強く握り締めている。
香織もまた内心は恐怖に竦んでいた。
しかし、それを表に出すまいと気丈に振る舞い、
握り締められた両腕で、胸の内の女性を、より強く抱き寄せた…
暗室内で恐怖に震えていた彼女達にとっては、無限にも等しく感じられた十数秒が経過すると、
やがて部屋の上昇速度が徐々に低下してゆき、それと共に漆黒に満たされていた室内に、
強烈な光の線が、部屋の上方から入り込み始め、ついにその全てが光に包まれた。
囚われの女達は、突如浴びせられた強光に網膜を弄られ、
眩しさから逃れようと、皆一様に顔を両腕で覆い隠し、頭を下に向けて身を竦る。
やがて、部屋の上昇が完全に停止した。
女達は、徐々に、恐る恐る、新たな光景を、己が瞳に映していく。
香織もまた、ゆっくりと、その両眼を見開いた。
香織の予測は当たっていた。
香織達が運ばれてきた場所。
其処は、広大な平面の上であった。
見渡す限り続いていく灰褐色の床。
その床から、、前後・左右に約100メートル程の間隔で配列された、
一辺約15メートル、長さ約50〜60メートル程もある長大な直方体の柱が
何十本、何百本と天井に向かって伸びており、
広大な構造体の左右両壁では、壁面に設置された滑り台の上を、
全裸の人間達が流し落とされるという光景が、
相変わらず繰り返され続けている。
以前に見覚えの有る場景である。
そう、此処は、あの時、香織が壁面内の小屋から引っ張り出されるときに、
彼女の眼に飛び込んできていたあの場所だったのだ。
壮然と広がる世界を観察した後、香織は、間近を見回した。
暗闇に視界を奪われていた時から、泣き暮れる女性達の声や雰囲気から、
相当な人数が一緒に閉じ込められているのであろうと考えていた香織であったが、
光の下でその事態を確認してみると、その数の多さに乙女は、改めて驚かされた。
彼女達が入れられていた空間は、その周囲が、幅約10メートル、高さ約2メートル程の大きさの、
硝子の様な透明な素材で出来た四枚の透明版によって四方を囲われており、
その上に厚さ10センチ程度の真っ黒な金属板を天井として被ることで形作られていたのだが、
その100平米程の空間内に、裕に100人はいるだろかと思われる
沢山の女性達が詰め込まれ、精神的恐怖と、物理的圧迫に心身を苦しめられていたのだ。
“ 一体どれだけの人が捕まってしまっているの?……… ”
と、香織は、驚愕と悲哀の混濁した思いに、改めてその無垢な心を蝕まれた。
そして、新たに込み上げて来た不義への怒りと、
今後に待ち受けているやも知れぬ苦難への不安が頭を擡げた時、
突如、ブ―――ンッという小さな音とともに、香織が背を預けていた透明壁の一枚が、
ゆっくりと沈降を開始し、やがて床下に完全に収納された。
100余名の女達を閉じ込めていた空間の一面が、下げ払われたのだ。
そして、疑心暗鬼に捕らわれている乙女達が、次は一体何をされるのかと怯え震えていると、
下げ払われた一面の、丁度正面に位置していた長大な柱に設けられていた大きな扉が開き、
中から、十数人の黒い大男達が、香織達が寄り集まっている空間に向かって、駆け足で近付いて来たのだ。
全裸の女郡が、より深い沈鬱のなかへと沈んでいく。
しかし、もう誰も逃げ出そうとする者はいなかった。
それは、適わぬ事なのだと、既に、その心身を以って思い知らされてきた彼女達の思考は、
無駄な抵抗をして更なる苦痛を味合わされるよりも、されるが儘にされよう。
それしか無いのだという思いに支配されていたのだ。
やがて、乙女の集積地にやって来た黒人達は、囲いの中に進入し、
そのまま、近くで経たり込んでいた女性達の腕や足をを乱暴に掴み上げ、片っ端から引き摺り出して行った。
そして、取り押さえた女性達の全裸体を、付近に設置されていた床下収納庫から取り出した拘束具によって、
その肉体を次々と締め上げていったのだ。
「 ……あたしたち……どうなっちゃうの……?」
絶望に打ちひしがれている可憐な乙女達が、一人、また一人と、鎖と枷の餌食になっていくなか、
香織の腕の中で怯え続けていたその人が声を震わせながら、香織に問うた。
暗中では判らなかったが、その子は、18歳の香織よりも年下と思われる、あどけない美少女であった。
「 …大丈夫ですよ。
きっと助けが来ます。
ですから、今は大人しくしていましょう。ね。 」
香織は、そのいたいけな少女に優しく微笑みながらそう言った。
無論そんな確証は何処にも無かった。
しかし、彼女を僅かでも安心させる為に
また、自分自身にそう言い聞かせ、崩れ落ちそうな精神を何とか保とうと、
気丈なる乙女は諭し、微笑んだのだ。
そして、震える少女を今一度強く抱きしめ直そうとした時。
「 アッッ!… 」
大男の太黒い一本の豪腕が、香織の乳白色で華奢な右腕を掴み取り、
苦声を漏らす全裸の麗体を、そのまま囲いの外へと引っ張り出していった……
「 タテッ!!! 」
力無く、無抵抗に引き出されてきた受難の乙女の頭上から、邪悪な大男の怒声が撃ち付けられる。
「 …ウッ… …クッ…… 」
香織は、痛め尽くされた美体に鈍痛を波打たせながら、歯を食い縛りつつ、よろめきながら立ち上がる。
すると、空かさず背後に寄って来た黒人が、香織の両腕を強引に後方に回し上げ、
手に持っていた、厳しく黒光りする枷を、その繊細な両手首に嵌め込んだ。
「 イッ!… …ぃたい…… 」
香織は、弱々しく、そう漏らした。
しかし、そんな乙女の苦悶など意に返さぬまま、大男は手首に続いて足首にも枷を嵌め込み、
さらに、その巨大な手で香織の華奢な下顎を掴み取って乙女の可憐な口唇を強引に抉じ開けると、
その桃色の口腔内へ猿轡の金属球を無理矢理に押し込んで左右の鎖部を後頭で連結し、乙女の発語を封印した。
香織は、その間、自分の周りで、自分と同様に、
黒い大男達によって身体の自由を奪われていく受難の美女達の哀れな姿を、やり切れぬ悲痛な思いで見つめていた。
しかし、その捕らわれの女体郡の哀態を映していた香織の瞳も、
直ぐに被せられてきた眼帯によって暗黒の虜囚となり、乙女は、またも視覚を剥奪された……
「 コイッ!!」
と、大男が怒鳴り、香織の首輪に繋げられた鎖をギュッと引っ張った。
縛められた盲目の乙女は、大男に引っ張られる儘に、その美顔を前に突き出しながら、見えぬ前方を歩かされていく……
「 ナラベッ!!」
と、香織は再び怒鳴りつけられ、その場で静止させられた。
その時、後手に拘束された為に、不自然に突き出させられた香織の乳房の先端部が、柔らかな肉の塊に接触した。
直前からは女の咽び泣く声も聞こえている。
間も無くして、香織の直後で、また大男の怒鳴り声が響き、今度は拘束された香織の両手に、弾力に富んだ物体が接触した。
どうやら、囲いから引き出され、全身を拘束されて引っ立てられて来た女達が、順場に並べ立たされて列を作らされているようである。
「 あの時に見たものと同じだわ…… 」
香織は、この空間に放出される時に眼に入って来た光景を思い浮かべながら、この先の展開を安じていた…… と、その時。
「 マエエ――ッ ススメッ!!! 」
という黒人の大声が響き、直後、香織の臀部に太い棒の様な物が突き当てられた。
香織は尻を突かれて体勢を崩し、そのままヨロヨロと力無く歩かされ始めた。
香織の前後でも、同じく全裸虜囚に貶められた美貌の乙女達が、
彼女達を周囲から監督している漆黒の巨人達の、手荒な指図の為されるが儘に小突かれ、怒鳴られながら、
若き美体に繋げられた鎖をジャラジャラと鳴らしつつ、絶望に澱みながら歩を進まされていく………
「 スワレ――――ッ!!! 」
美女達による数分間の全裸行進が行われた後、再び黒人の命令が飛び、乙女達は停止し、その場に腰を下ろした。
香織もまた、言われるが儘に止まり、無言の内に膝を折った。 すると。
「 ハイレッ!!! 」
という大男達の怒声が一斉に響き渡ったかと思うと、
香織は首輪に繋げられた鎖を勢い良く下方に引っ張られ、同時に、その臀部を再び小突かれた。
両手の自由を奪われている香織は、為す術無く上体を床に突っ伏し、そのままの格好で這いずる様に前進させらていく。
そして、前方にあった狭小な空間の中に押し込められ、直後にガチャンという扉が閉まるような音が香織の背後で鳴った。
「 あの時の檻だわ…… 」
閉じ込められた香織は、直ぐに思い出した。
この体勢、この空間、そして、この猛烈な圧迫感。
忘れようと思っても忘れられるものでは無い。
此れは、正しく、この乙女の光り輝く運命が、一転して暗黒に飲み込まれたことを乙女に思い知らせたあの場面と同じではないか。
乙女は、己が人生の悪しき転換点となった、あの忌まわしい情景を思い返し、その心を悲しみに疼かせる。
そして、もう戻らぬやも知れぬあの日常にまで思いが至った時。
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