「私は、M92号。これからよろしくねM99号。」

自分のことをM92号と名乗った女は笑顔のまま続けた。

「まだ、昇天してきたばかりで何もかも解らないことだらけで心配でしょう?
 私も最初の頃はそうだったわ。だから聞きたい事があったら遠慮せずに何でも質問してね」

優美子は戸惑った。この人たちは何故こんなに冷静でいられるのか?それもこんな檻の中に裸で押し込まれて素晴らしいなんて?
全く理解に苦しむ。だから早速質問してみた。

「あのここは何処なんですか?」

女は即答する。

「ここは、私達の神聖なる主様であらせられるクララ・フォン・コトヴィック公爵様が、
 もったいなくも私達のために御建てになって下さった私達のための修行の場。選畜の園よ」

修行?せんちくのその?期待していた答えからかけ離れた言葉に優美子はさらに戸惑ったので、今度はより具体的に訊いてみた。

「あの・・そうではなくて・・ここは何処に在るんですか?ここは日本なんですか?
 それともどこかの外国なんですか?わたし東京に向かっていたところまでは覚えているんですが
 そのあと何回も気を失って・・気づいたらこんなところに・・こんな格好で・・わたし・・もう・・・」

話しているうちに抑えていた感情が止め処なく溢れてきて、優美子は言葉を詰まらせ、また泣きそうになった。
すると、M92号なる女は、顔を近づけて優しく答えた。

「大丈夫、悲しまないで。あなたは選ばれたのよ・・・それと、あなたの質問に対してだけど・・
 ここが何処にあるのかというと、ここはカルーという地球から遠く離れた惑星の地下にあるの。
 いきなりこんなことを言われても信じられないだろうけど、ここは本当に地球じゃないの。別の星なのよ」

その言葉に優美子は頭の中が真っ白になった。