「他にも色々と決り事があって例えば」
ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン
 「あッ・・もう就寝の時間だわ。続きは後で話すから、もう横になりましょ」

M92号がさらに説明を続けようとすると、突然、大きな鐘の音が畜舎に響き渡った。
その直後、それまで平らだった檻の床の中央から、およそ3m×0.5m程の長方形の左右に、
5個づつ計10個の半円を刳り貫いた物体が30cm程せり上がって来た。
すると、檻内の女たちが、その物体の半円形の窪みの部分に、其々の頭を入れるようにして川の字になって横になり始めた。

 「さあ、あなたも寝るのよ。早く寝ないとまた懲罰が来るわよ」

これは一体何なのかと不審に思っていた優美子だったが、
M92号のその一言を聞くと、急いで開いていた場所に仰向けになった。

 「明日から頑張って修行に励みましょ、M99号」

隣で横になっていたM92号が笑顔でそう呼びかけてきた。

 「え?・・あ・・あの・・あ・・・・・・・・・・・・」

その言葉に何と返答すべきかと少しの間だけ口ごもっているうちに、優美子の意識は無くなって、深い眠りについていた。
畜舎全体が静寂に満たされるなかで、優美子の奇妙な一日が終わった。