TA女学院の生徒数は1学年当たり222名である。44名が4クラス、46名が1クラス。
この時期には生徒会執行部の役員は2年生が勤めており、会長と副会長は46名のクラスに在籍している。
レイのクラスでもある。

単調な靴音を正確に三拍子に刻んで、レイの虚像がこちらに向かって歩き出した。
カッツーン カッツーン カッツーン カッツーン カッツーン カッツーン
カツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツカツ
鏡から抜け出た虚像はその瞬間に闇色に染まった。凛とした肢体に纏う上着はエナメル素材のTA女学院の制服そのもの。
頭部は全頭マスクで覆い修道女の頭巾を着用。帯剣した腰にはセーラー戦士のそれと同じデザインのマイクロミニのスカート。
そこかしこにあしらわれた黄金色もまたセーラー戦士のそれとよく似ている。
6インチピンヒールのニーハイブーツをものともせずに歩調を乱さず、艶やかな悪意をまとってレイに向かって歩み来る。
対領域が眩しい。二の腕までのロンググローブには巨大な血色のキャンドルを添えた黄金の燭台を捧げ持ち、その台座は茨の冠。
カツカツカツカツカツカツカツカツカツン
生徒会長はレイの目前で直立不動の姿勢をとった。威厳に満ちた切れ長の眼は、痛みでボロボロと涙をこぼすレイの瞳と同じ高さにある。
その眼に僅かに勝ち誇ったような、蔑んだような色を浮かべてから、エナメルの人差し指に灯を灯し、それをキャンドルに移し、
棘だらけの冠をレイにの頭に載せた。
「ぶひっぶひっぶひぅいぃぃぃ!」
黄金色の燭台は相当に比重が高い素材であるようだ。無数の棘の一つ一つが食い込む深さは、仮に会長がレイの頭頂に起立したとしても、
そのピンヒールが食い込む深さよりも間違いなく深い。まるで頭骨を貫いたかのような棘から何かが吸い取られる。
「ぶぴっ!ぶぴっ!ぶぴいいいい!」
雌豚の声が高まるにつれて赤みを増す灯火は決して揺るがぬ。その様は生贄を貫いた槍にも見える。穂先から灼熱の雫が滴り落ちる。
「ぶぷうううっ!ぶひいいいいっ!ぷっぴいいい!」