>>509
つづき

「許してほしいの?」

その言葉を聞いた健介は、最早原型を留めないその表情を幾分明転させていった。

「はひ…なんでもしますから…たすけてください……」

健介は無意識に敬語を使っていた。
最近まで彼女だった2歳年下の後輩に。

必死なその姿が余計に苛ついた。
(この男をもっと壊したい)

「じゃあ…四つん這いになって豚になりなよ。鳴き声もね。
もし人間の言葉喋ったりしたら、また調教するからね」

無情な命令であった。
陽菜も命令しながら、正直さすがにこんな事まではしないだろうとも思っていた。
しかし、健介には最早一寸ものプライドさえ残っていなかった。
ただ助かりたい一心のみが、彼の体を動かした。
そして、陽菜の足下で無様に四つん這いになると、まるで本物の豚の様に鳴き始めた。
「ぶぅ…ぶぅ…ぶひぶひ…ぶひ…」
美咲の笑い声が鳴り響いた。

「あははは!コイツ本気でぶひぶひ言ってるんだけど!
本当男として…ってか人間としてもう終わってるね(笑)」

釣られて凛子と陽菜も笑った。
可笑しかった。