山田鉄平(9)は小柄ながら、大層やんちゃな男の子だった。
学年の中で一番ケンカが強く、スポーツ万能。
頭も良くて不真面目な授業態度にも関わらず、そこそこ勉強も出来たが、性格はジャイアン。いや、それよりももっと酷いかも知れない。
教師にすら悪態をつき、弱いものをいじめ、彼に反感を持つ同級生は容赦なく叩きのめす。
女の子をからかい、泣かし、子供のくせに強制猥褻までやらかした。
大人しくて美形の同級生女子に、裸を見せるよう強要したのだ。
危うい所で教師が発見し、事なきを得たが、それ以来、女の子は恐怖とショックで登校拒否に陥った。
鉄平の親も、彼にはほとほと手を焼き、学校側もついに彼を見放して、矯正施設へ入れる事が、親も同意の上で決定された。
鉄平は4年生に進級すると同時に、姫乃樹学園小等部に転入する事となった。

姫乃樹小学校は某県の離れ小島にある。
島には学校の生徒と職員以外に住む人はいない。
週に1回、必要物資を載せた船が来るだけ。
その船に乗って、鉄平は島に渡った。
学校までは、物資を運ぶ車に同乗した。