「おじさん、首を挟まれたそうな顔をしてるわね」

人気のない山道で若い女の声を聞き、私は思わず振り返った。


・・・そこにいたのは、巨大な蜘蛛の身体に女の顔、そして脚が八本生えた化け物だった。

昭和五十年代に和歌山県のとある山中で起きた実話である。