そこに通りかかったのが、女子5〜6人の集団。
 気に入った男子を平気で女子便に叩き込むようなグループだから、何されるか分からないと思っていたら、
誰かの指示があったのだろう。僕のお尻に、彼女の(おそらく)汚い上履きの底が押し付けられた。
 
 次に、そのまま靴底で僕のお尻をそおっと遠ざける。
 僕は、反動で体勢を戻そうとする。
 すると、また靴底で僕のお尻を遠ざける。
 そんなことを繰り返していたかと思ったら、今度は、誰かが僕のお尻を脚の甲で蹴り上げた。
 一発。二発。
 ドッと笑いが起こった。
 そして、違う女子に、蹴り上げられた。
 周りにいた男子、女子の声が混ざった高笑い。
 そして、今度は、さっきよりは強い力で上履きの靴底が僕のお尻に命中した。

 5〜6人の女子が代わる代わる、僕をもてあそんだ。
 僕は、あの長身の男子に抑えられていて、ほとんど身動きできない。
 次に、もっと恥ずかしいことされたらどうしよう、そればっかり考えていた。

 女子たちが歩くと、かかと潰しの上履きが、スッパン、スッパン、スッパン鳴り響く。
 そして、僕のお尻にキマる音。

 上履きの学年色が僕と同じ赤だったのが見えたから、僕をもてあそんでいるのは、同学年の女子と分かった。
 その中に、1回だけ青い前ゴムが見えた。
 1年下の女子だった。
 部活の先輩後輩の関係だったのかは知らない。
 下級生の女子にこんな仕打ちを受けるなんて、いくら悪ふざけといっても屈辱的だった。

 ほんの1、2分の出来事だったと思う。
 僕には、5分、10分のように長く感じた。
 僕は、解放されると、すぐに教室に戻ったが、僕の赤いイモジャージは、とくにお尻の辺りは、白い汚れで足跡がつけられ、ほこりまみれの状態だった。