1年の時、掃除を済ませた6時間目に委員会というのがあって、下校の準備をして、委員会のクラスに集まったときのこと。
 担当の先生がまだ来ないので、教室内は、みんな好きなことをやっていてガヤガヤしていた。

 僕の周りには、適当に男子が座っていたが、小学校のときからの悪友もちらほら。
 そのうちの1人Aは、前にも僕の持ち物を汚た半不良。もう一人Wは、僕をいつもいじって楽しむヤツだった。
 それらは、なんとなくまとまって、話をしていたりしていた。

 そんな状況の中、Wが机に掛けておいた僕の肩掛けカバンの肩ベルトに、僕の鉛筆を使って、落書きを書き始めた。
 肩ベルトは、幅広い白い布製だから、何か書くとすぐに目立つ。
 僕は、やめてほしいから、抵抗したが、無理やり書こうとするW

 それを見たAは、何をするかと思ったら、机に掛けてある状態の僕の肩掛けカバンの上に、上履きのままのぼり出した。
 どうしてそんなことをするかといったら、よく不良たちは通学の肩掛けカバンの肩ベルトをカバン本体から切り離して、カバンを腕に抱えて使う。
 だけど、それは少なくとも2年以上の不良がふつうで、1年ではしない。

 ませたAは、そうした不良スタイルを知っていて、僕のカバンも同じような目にしてやろうと、いたずらしてきたのだ。
 でも、肩掛けカバンは、意外に頑丈で、その程度で肩ベルトが切れるない。
 だから、Aは、あれ、(おかしいな)なんて言いながら、一生懸命、片足を僕のカバンに力を入れている。

 そのうち、しびれを切らしたAは、机に掛けてあった僕のカバンに、Aの全体重を掛けて両足でカバンの上に乗った。
 そして、机を両手で固定し、激しく体をゆすり、Aの汚い上履きが僕の紺色のカバンにめり込んだ。
 それでも、肩ベルトは切れなかった。まったく。

 結局、僕のカバンをみじめにすることは失敗に終わったが、カバンには上履きの白い汚れが付着していた。
 カバンの表面にも特に傷はなかったが、Wの書いた肩ベルトへの落書きを、僕は必死に消した。