>>325

「……今日一日、こちらのクラスでお世話になります。よろしくお願いします」

 昼食が終わってから案内されたのは保育園の中でも一番端のクラスで、
 
 そこでは2歳児クラスの子供たちが十数名、簡単な積み木や本を見て遊んでいた。

 この中に、今から自分が加わる。しかも明らかに身の丈のあっていない園児服を身に着けて。

 それを思うだけで美希の顔は朱色に染まり、身体は熱くなる。
 
 それに、この2歳児クラスには今一番顔を合わせたくない人間がいた。

「はい、園長先生から話は聞いています。よろしくお願いしますね、美希ちゃん」

 それが、2歳児クラスの担当をしている『小百合先生』だった。

 胸には園児にも読める様にか、小さく『さゆり』と書いた名札がついている。

 当然、美希が胸元につけているような園児用の幼く恥ずかしい代物ではないが。

 彼女は美希の2歳年下で、高校時代部活の後輩でもあった。

 そうして、美希が誰より厳しく指導した人間でもある。