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 というのも、高校生時代からどこか大人っぽい雰囲気を見せる美希に対して、

 小百合はまだまだ幼げだった。その所為で、衝突が幾度もあった。

 小百合が美希に対して逆らうことも多く、美希は部員全員の前で小百合を𠮟りつけ、

 恥をかかせて反省を促したこともある。

 しかしそれも勿論、小百合の成長を期待してのものだったのだが、それでも最後まで
 
 和解には至らなかった。

 その小百合が、娘の保育園に務めていることを美希知っていた。

 けれども、まさかこんな痴態を見られることになるとは。ただでさえ恥ずかしい恰好だというのに、

 余計に顔が赤くなる。

 救いは、小百合がこちらに気付いていないことだろう。

 保育園で小百合と再開した時、美希は一目で相手がかつての後輩である事に気付いたが、

 小百合はまるで初対面のような挨拶を交わしてきた。

 大学、社会人と全く違う道を歩んできたのだ。それもおかしな事ではない。