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「それじゃあ、さっそく2歳児クラスの皆に挨拶からはじめましょう。皆ーあつまってくださーい」

 小百合が手を軽く叩いて教室中に声を響かせると、十数人の子供たちがよたよたと集まってくる。

 赤ん坊ではないが、まだまだしっかりしていない子も多い。

 そんな子供たちが、不思議そうに美希を見つめる。

 子供たちもどうやらお姉さんお兄さんが着る服は青色で、自分達が着る服がピンク色だということ
 は理解しているらしい。

 だが美希は、大人であるにも関わらず自分達と同じようなピンク色のスモックを着ているのだ。

 ただでさえ好奇心が強い子供たち、当然疑問は自然と芽生えてくる。

「今日一日、皆と一緒に保育園でお勉強する、美希ちゃんです。仲良くしてあげてくださいね?」

「よろしく、おねがいします」

 2歳児の子供と同じ勉強をする。そんな恥ずかしい紹介のされ方に羞恥を覚えながらも、
 美希は小さく頭を下げた。

「はーい、せんせー。どうしてみきちゃんはおっきいのに、私達とおなじなんですかー?」

 子供たちの中でも比較的しっかりした女の子が、手をあげて質問する。

 困りながら顔を赤くした美希を後目に小百合はくすりと笑いながら言った。

「美希ちゃんはおトイレが上手くできないので、身体は大きいけどまだお姉さんじゃないんですよ。
 わかりましたか?」