きっと、アヤ以外の子供たちも知らず知らずの内にその純真な意地悪さで気づき始めていたのだ。

 自分たちよりずっとずっと大きく大人な美紀。

 そんな彼女が、おもらしもおねしょも治っていなくて、先生に丸出しのお尻を叩かれている。

 それはきっと、とっても恥ずかしい事。

 美紀は、自分たちが馬鹿にして、笑いものにして良い存在なのだ。

 その証拠に何時もは友達をからかってはいけませんと叱る小百合先生も、

 美紀に対してだけは一緒に笑って小ばかにする。

 もはや幼稚園のクラスの誰もが、美紀を恥ずかしがりやのおねしょ娘としか見ていなかった。

「先生、はいみきちゃんのトイレもってきたよ!」

 アヤが相変わらず意地悪な表情を浮かべながら、教室の端っこからおまるを取り出した。

 子供用のトイレが上手く使えない子は、教室でおまるで用を足す事になっている。

 アヤは生来の狡猾さから、美紀がこれを恥ずかしがるであろうことを分かっていた。