かなり想像力が必要な作業ぽいっすね。
例えば…

「令くん、おなか痛い?大丈夫?」
茜ちゃんが心配そうな顔をして、こっちを見てる。
違う。ボクは保健室に行って、まぞ登録をしてほしいんだ。でも、そんなことクラスのみんなの前で言えやしない。
女子にイジメテもらえるなら嬉しいかもしれないけど、男子だっている。
ボクを女みたいと苛めるヤツラ。
ボクがまぞだと知られたら、何されるか解らない。
「う…ん…、大丈夫だと思うけど…一応、保健室行っとこうかな…。」
具合が悪いふりをしながら、弱々しく頬笑む演技をする。
周りの女子たちがざわめく。
「ちょっと、優季!令くん、おなか痛いんだってさ!保健係でしょ、連れてったげて!」優季の双子の姉の優歌が声を描けると、仲の良い女子たちが一斉に立ち上がろうとする。
「待って!大丈夫、ボク一人で行けるから!」
「…本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫…。」
演技って難しい。
ボク自身、自分は可愛いという気はしてた。
女の子の服を着たら、たぶんスゴく可愛いに違いない。
だからかなあ…男の子に嫌われるのは。
皆遠巻きに見てるだけで、勇気出して話しかけたら黙ったまま無視されたり、なんだか解らないこと言って怒鳴られたり。
女の子たちは優しくしてくれたけど、女子たちと遊んでると男子に「やっぱアイツ女だ!」とかバカにされる。

…なんだか、悲しくなってきた。

ううん、今日登録をしたら違う。違うに違いない。
ボクはまぞとして登録してもらって、優しくてキレイなお姉さんのペットにしてもらうんだ。
そしたら男の子も女の子も関係ない。
ボクはお姉さんだけ見つめて、お姉さんはボクを可愛がってくれて…幸せになるんだ!

少年はキラキラした目で保健室へと近づいた。
その先にあるものを知らなかった。