「…ね?信じられないでしょう!」
旧宅についた遙香は智子に連絡して来てもらい、思いのたけを聞いてもらうことにしたのだった。
こんなこと、智子以外に言えるわけがない。
大きめなソファー、そこに二人は座り、智子が用意してくれたお茶とお菓子をつまみながら気持ちを落ち着けようとしていた。
智子は優しい笑顔を浮かべ、娘のような遙香の言葉を聞いてあげる。
さんざん話して落ち着いてきた遙香は、智子さんの優しさに甘えてしまってる自分に気づき、罪悪感を感じてきてしまった。
「…智子さん、ごめんね。こんな話、聞きたくないよね…。」
うつむいてしまう女子高生の手を、智子は優しく握った。
「大丈夫。気持ちを聞けて嬉しいよ。」
智子に言われ、遙香は智子に身体を寄せて甘えた。
よしよし、と智子は遙香を抱えるようにしながら頭を優しくポンポンと叩く。
しばらくそうして遙香が落ち着いたのを確認すると、智子はそっと切り出した。
「…あのね?お母さんは淫乱じゃないの。慈悲なんだよ?」優しく諭すように言った。
「慈悲…?」意味が解らず女子高生はキョトンとする。
「そう。慈悲。」智子が微笑む。
「今度見せてあげる。…しばらくはこちらに泊まるんでしょ?晩御飯は何が良い?好きなのを作ってあげる。」
智子が微笑み、遙香は微笑み返した。