体験談その2

今日も待ちに待った当直だ。夜になり、自慰行為に耽るべく、ディルドーを取り出そうとマイロッカーを開けた。
無い。ロッカーに入っているはずのアレが。何故だ…。
私は背筋がうすら寒くなり、言い様の無い不吉な予感を覚えた。平静を保とうとするが、動揺が押さえきれない。
「どうしたの?」急に背後からお姉様に問いかけられ、心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。
お姉様は左手にエルメスの高級ハンドバッグを掲げ、右手は後ろに回して立っている。
「え、あ、あの…」狼狽のあまり、言葉にならない私をお姉様はニヤニヤと意味深な笑みで見つめている。
「なぁに?そんなにビックリしちゃって…何か探し物?」
「あ、い、いえ…」
「ひょっとして、探し物はこれかしら?」
「!!」お姉様が後ろ手に隠していた手を前に差し出した。
ニッコリと微笑みながらお姉様が手にしているのは、紛れもなく私の愛用品、みちのくディルドであった。
一瞬にして日常が崩壊した。私のキャリアプラン、輝かしい未来が全て崩れ去りかねない。その生殺与奪の権利は全て悠美お姉様に
握られている。
「え、あ、ど、どうして…」恥ずかしさとパニックのあまり、消え入りそうな声で尋ねる。
「ウッフフ、こっちが聞きたいわよ。どうしてロッカーにこんなもの入れてるのぉ?」
「あぁ…そ、それは…」
「答えにくい?そうよね…じゃあ、当直室でゆっくりお話聞かせてもらおうかしら」
ディルドーを私の顔にペチペチと軽く叩きつけながら、お姉様はうっすらと目を細めてほくそ笑んだ。
「は、はい…」もはや逃げる事は許されず、観念した私はお姉様とともに当直室へのエレベーターへ向かった。