好戦的でやんちゃで手の付けられない少年でした。
リレーで遅いと男女を問わず暴力を振るったり、ファミコンカセットを貸せば返さなかったり
友人のトモユキ君はディスクシステムのバレーボールを壊されたりもしました。
家に遊びに来たときに仕方なく招き入れれば、きちんと用を足せず、
和式便器のサイドに彼の物が転がっていたり、10ヤードファイトの説明書をぐしゃぐしゃにして捨てたり、
何とか追い出して鍵をかけたら、2階の窓から入ってきたりで、
怒った兄が騙して外にたたき出したほどでした。
そんな彼が先生が出張だった掃除の時間、クラスで気の強くて字が綺麗で、
運動神経の良いヒトミさんと言い争いになっていました。
この女の子は今思えば美人できたが、とても怖くて、俺も隣の席にならないように祈っていたほどです。
「うー!お前が幼稚園だとか言ったんだろ!!」「あんたがバカなことばかりやってるからでしょ?」と、
声が聞こえる中、やり合っている内に規模が大きくなり、ヒトミさんの側には女子が次々と集まってきました。
俺は二人ともかかわりたくないので遠目に眺めながら大人しくしていたその時、
「わー!!キンタマが!!キンタマがーー!!!」
と絶叫が響きました。声のした方を見てみると、
タカシ君は両手で股間を押さえてピョンピョン飛び跳ねていました。
その姿を憮然として見据えるヒトミさん。この光景だけはやたらシュールだったのでよく覚えています。
同じ男子でありながら少しばかりザマアミロなどと思ってしまった俺もいました。
そのまま掃除に戻ってふと振り返ると、タカシ君は座り込んでメソメソ泣いていました。
よほど痛かったのか、悔しかったのか。同級生男子数名が慰めていましたが、胸がすっとしましたね。
ちなみにヒトミさんはそれ以来男子に金蹴り姫として定着し、
皆から恐れられるそうになりました。わざと挑発して蹴られてた男子もいたような。
かくいう俺も同じ班だった時に事あるごとに怒られて、大変でした。
いやー、幼い頃の男女の力差って残酷で美しいですね。