意外なことに両親との面会は一切拒んでいる
情けない所を見せたくないし被害者はもう誰も会うことが出来ないという理由だ

頭がよく知的な仕事に本来従事するであったのに与えられた刑務作業は単純なミシン縫いであった
ここでも自分の能力を使う機会を奪われた情けなさで涙が何度も溢れた

半年ほどたった時仮釈放に関する面接が行われた
このままでは刑期を半年以上残したまま仮釈放になると言われたが拒否した
人を死なせてしまった以上自分は一切許されるわけではないという重いからだ
しかし刑務作業にもどると仮釈放を断った事を後悔して泣いた
でも後悔するということは十分に反省してない証拠だと自分のエゴに更に泣いた

満期出所の日を迎えた
囚人服から私服に着替える
刑務所に入る前から10kg以上痩せた
ところで私服は19歳のときに着ていたセーラー服だけであった
親に敢えて連絡を取らなかった私は真夏の中23歳で冬服のセーラー服を着ながら蝉の泣く暑い道を頬に垂れる玉の汗を気にすることもなく刑務作業で得た僅かな報奨金を手に実家に向かうべく何キロも駅に向かいながら歩くのであった

電車に乗りつつ自分の将来を考えて再び泣き出した
進学校から名だたる私大に進学したさなかに犯罪を犯した
再び5年遅れで大学に入り直そうか?
このまま高卒者として働くか?
私は大学に戻りたいし両親も賛成してくれるであろう
しかし5年も遅れて大学に入学した者を今後社会が受け入れてくれるだろうか
これからのことを考えながらふたたびおえつするのであった。