悪夢の5浪目。
5浪に入った俺はもう形振り構えなかった。
恥を忍んで、従妹に勉強を教えて貰うようになった。
平日は塾通い。休日は従妹からの個人レッスン。
昔、格好つけてた年下の少女の前で無知をさらけ出してお勉強。
散々下に見てた女の子に、答え合わせして貰う日々。
従妹のつくる小テストは難しかった。
赤ペンで何個もチェックをつけられる俺。
赤ペンのように顔を真っ赤にする俺。
それを見て励ましてくれる従妹。

「この前よりは、よくなってるね!」「失敗から学べることって、あるもんね!」
そう言う、従妹の口角が僅かに上がっていたことを俺は知っている。隠せていると思っていることも。
従妹は優しい。
本当なら逆の立場だった筈なのに。
なんでか分からないけど、俺の成績は一向に上がらなかった。
受験の結果は書く必要がない。