え、えっと…ヒールだからっ。ちょっと、よろけちゃったの。
(ごまかすようにぎこちなく微笑むけど、掴んだ手は離せなくて)
(スカートの中の手はストッキング越しにゆっくりと太ももやお尻をいやらしく撫で回し続ける)
(知らない人に好き勝手に触られる感覚に自然と目が潤み)
(吐息が乱れ始めると、言葉もたどたどしくしか繋げられなくて)
(落ち着き無くそわそわと電車内の電光掲示板で降車駅を確認しながら)
弟?んっ……そうだね。家族から見たら、相変わらずただのサッカー馬鹿だよ。
え?あっ、そうなんだあ。
それは、良くないです。困っちゃうね。
(痴漢の言葉に一瞬バレたのかとドキッとして、優くんの顔を見上げ)
(後ろから伸びる手も優くんの言葉に反応したのか、動きを止める)
…あっ、うん。
(体ごと場所を変えられると、その力強さに男らしさを感じて思わずドキッとしながらも)
(やっと手から解放されて、張り詰めていた緊張の糸が解けたように力が抜けて)
(体を優くんに預けるようにして、ぎゅっと服を掴んだまま乱れた息を整える)
(促されるままホームに降りるけど、足はまだ震えたままで)
(助けてくれたことへの感謝と、されていた行為がバレたことの恥ずかしさが混ざって、優くんの顔は見れなくて)
あの………ありがと。
大丈夫、これくらい…大したことじゃないから。
次、会ったら自分でちゃんと捕まえるよ!
(心配をかけまいと笑顔を作ると胸の前で拳を作って強がる)
(悔しそうにする優くんを見るとその気持ちが嬉しくて、そっと手を伸ばして頭を撫でながら)
いいの。むしろ優くんがそれで揉めちゃったり、巻き込まれる方が先生は嫌だよ?