(勢い良く出るシャワー…上へと向けた顎先、瞼を閉じる)
(息の合間から…ふっくらした唇では受けきれぬ温水が首筋へ…
白い肌を滑り降りていく)
(濡れた長い髪がそれにつられるように豊かな胸の谷間へと吸い付いていた)
………?
(微かな物音、ふとその方を見つめるが動けぬままに……)
(送りつけられた封筒が頭にあったからだろう、五感が過敏になっていた)
(あなた…?私を心配して…?去っていく人影へと問いかけるが声が出ない)
(この人と結婚したら幸せになれるよ、傷心を癒すためにしたお見合い……)
(周りからそう言われ、薦められるがままに結婚した)
(不自由のない暮らし、優しい人柄…理想の夫そのもので…
自分も理想の妻を目指そう………)
(だが…毎晩のように求められるが満たされぬ身体…
結婚前の恋人を身体が忘れられずにいた…)
(シャワーのヘッドを掌で包み…温水が滴れ落ちる脚の間へと導いていく)
ん……はぁ………
(寝室へ戻る際、書斎にいるであろう夫へと向けた視線…罪悪感が陰る)
あなた…
明日、警察へ相談してみます。
今日は疲れてしまって先に…休ませてもらいます。
おやすみなさい。