「……だな。もっとケツ上げて拡げろよ。そう、そうだ。孔の奥までよく見えるように。」
「シーツに垂らしたこれは何だ?俺の指を汚すなよ。舐めろ。」
「どっちへ入れて欲しいんだ?……聞こえねーな。どっちもか?え、違う?」
「期待してっからこんだけ濡らして、ポッカリ空いた穴ヒクつかしてんだろ」
「こっちか…?それともこっちか…?待て、そんなに腰振って誘うな。」
「今日はこっちな、今くれてやる。…っく!」
(背中に感じる夫の温もりに、記憶から消した筈の昔の恋人を思い出していた)
(普段から優しい夫…それは行為の際も変わらぬままに…)
(もともと積極的ではない…が、何かが外れてしまうと自身さえ見失う)
(淫らな姿を見せたら嫌われるかもしれない…それが怖かった)
(夫を想う気持ちは「家族」としての穏やかな愛情…偽りはない)
(「結婚」とはそういうものの筈、セックスは危険日だけで充分……)
(だが、「女」としての燻りが消えぬまま…それが日ごとに増していく)
携帯の機種を変えるの久しぶりで…便利な機能も増えてますね。
うーん、私に扱えるかしら……。
あ、この形好きかも…。これに決めてもいいですか?
あなたは…どっちの色が好き?
(昼食後に立ち寄った携帯ショップ…新規に契約するのは携帯を持ち出して以来の事)
(新たな番号とメールアドレス…この数日のあの煩わしさを思い出さぬように
夫を出張先へと送り出すと取り扱い説明書をパラパラと捲る)
………?
(微かな物音を感じてふと視線を上げる、気のせい…?)
(リビングの大きな窓…斜光カーテンがかかるその先を見つめていた)
(携帯を握り締めた指先…咄嗟に夫への短縮ボタンを押して…)
ごめんなさい、やっぱりひとりは怖くて……
昨日は買い物まで付き合ってもらったんですが、
あなたの出張中は実家へ帰ってもいいですか?