やぁん…、何これ…。
どこを向いても人、人、人。これじゃ全然身動き取れないじゃない…。
(朝の通勤ラッシュの満員電車)
(辛うじて、向かい合わせの長い座席の端に座れたものの、鮨詰めのせいで全く身動きが取れない)
(人混みに揉まれ過ぎたせいでブラウスの前のボタンが一ヶ所取れてしまっており、深々とした谷間を露わにして、電車が振動するたびにたぷんっと上下に揺れている)

……あら、君は?
確か図書館で会った君だよね?
奇遇ね、こんなところでばったり会うなんて。これから大学?
(ふと顔を見上げると、いつか昼下がりの無人の図書館で情事に耽った大学生が、目の前の吊革にしがみつくようにして立っている)