(近頃、瑠璃葉の成績は急激に上昇し安定していた。)
(学校や塾の人間はそれが教育の結果であると見、母や妹はこれまで以上に勉強に適した環境を瑠璃葉が得たからと考えているだろう。
だが実際は異なっている。)
(父から寵愛を受けていたからだ。)
(それが多少暴力的で、歪んでいたとしても、父に触れられる幸福は安定的な精神状態をもたらした。)

(外は雨が降っている、遠くで雷の音さえする。)
(父の帰りは遅い。豪奢な調度と品のいい品々に囲まれた部屋で瑠璃葉は制服のまま父を待っていた。)
(床も調度も、奥の和室も塵一つない。
最近は瑠璃葉がこの部屋の管理を一手に引き受けている。
母はそのことに対しては喜んでいるようだが、内心何故娘に部屋の管理をさせているのか僅かに疑問を抱いているようだ。
しかし、幹夫という男は道を誤る人間ではない。彼女はそう信じきっている。
母裏切るのは心苦しいが、臓腑から手が出るほど欲しかったものを手放せるほど瑠璃葉は欲のない人間ではない。)

(午後23時を周り、瑠璃は参考書から顔を上げた。静まり返った部屋は父の気配に満ちている)
(椅子から立ち上がり、本を文具を、衣類を一つ一つ見て回る)
(幾つかは瑠璃葉がかつて、拝借したものでもある)
……遅いな、電車…止まっちゃったのかな
(スマホを取り出し、路線情報を見るが電車が止まったという情報はない)

(夜が深まるにつれ、下腹部の甘い疼きが止められなくなる)
(まして、父の気配しかない部屋では仕方がないことだ)

(不意に整えられたベットが目につく、誘われるように寝床に脚を運びシワ一つ無いシーツに膝を付き、枕を抱きしめる)
(顔を埋め、ほおずりし…この枕でまた自らを慰めたら父はあの晩の様にしてくれるのだろうと回想してしまう)

(どうせ汚れて、脱ぐのだからと黒いタイツを下ろし素足になり、父の寝床に枕を抱きしめたまま転がる)
(そしてそのまま、下着に手を伸ばす)
(既に濡れている)
(父がしたように浅く、入口をなぞり、反対の指を舐める)
(流れ出した液を陰核に塗りつけて、激しくいじめている内に容易に言ってしまう)
(この場所のせいだろうか、分からないが…最早自慰では足りない…父が帰ってこなければこの疼きはどうしようもない)