(休日、突然父から美術館に出かけると言われ瑠璃葉は驚いた)
(父と二人で外出するのはいつぶりだろうか)
(生き生きとした顔で、分かりましたと頷いてみせ)
えーと、お父さんは観たいものが特にないのですか?
でしたら私は普通の絵画の方が…いえ、どちらでも構わないのですが
勿論、常設展でも構いませんし
(そこまでいった所で丸みを帯びた複数の器具を渡された)
(一応、それがなんだかは知っている
同級生が冗談交じりに自分に見せてきたことがあるものだから、用途も知っている)
(だから、明るい笑顔に混じりほんの少し後ろめたく、黒い笑いが漏れてしまう)
練習ですか…
(自分の内心を理解するという意味での練習…意味がよく掴めないが
それを使えば自分がどうなるのか、年齢相応の好奇心が沸く)
(何よりも心が乱れてしまうと言う父の助けになるのならば構わないと思い、それらを受け取った)
…分かりました、身につけてくるので少し時間を下さい

(数十分後、瑠璃葉は両胸に二個、中に三個、クリトリスに一個と父の渡した玩具を全て身に付け戻ってきた)
(制服の上には真夏にも関わらず、薄いセーターを着ている)
(父には目立たないと言われても、どうにも目立つ気がして気休めと知りつつ、身につけてきたのだ)
(また、慣れない玩具を無理に装着したこともやけに時間のかかった原因だ)
お待たせしました
…じゃあ、行きましょうか
(腹部の違和感と、動けば擦れる刺激に、不自然ではない程度に内股になりながら
それでも一緒に出かけられる嬉しさに、思わず手を父に差し伸べる)

(展覧会の会場に着く頃には、やや違和感は薄れ)
(しんと静まり返ったエントランスをごくごく自然に通り抜けた)