(父ならば叱咤すると…手を挙げてすら叱咤すると思った。
或いは、馬鹿な事をするなと、娘だとも思わないとでも言われると思った。
それ程リスクがある事を安易にしてしまった事愚かさが酷く自己嫌悪を齎した)
(こんな事は一度や二度では無いと告白したら激昂してくれるだろうか)
(父の言葉に、なんとかコクコクと首を頷かせる事で返答をするが
ついに父が絞り出す様な声で、なぜ、いつからかと尋ねられれば暫し沈黙したのち)
…気が付いたのは小学生の時です
お父さんとお母さんが手を繋いだのを見た時です。
その時、私は嫉妬しました…高学年になってその理由が…理由がお父さんを好きだからと分かりました
(明朗な答え
懺悔めいた声で告白はまだまだ続く)
お母さんと同じ立場になれなくとも、女性としての機能は同じ…
だから私はずっと一人で慰めてきました…今日が初めてじゃ無いんですよ、お父さん
(少し涙ぐんだ笑は自嘲をこめて、相手の憎しみか怒りを煽ろうと妖艶な形を無理矢理に作って見せる)
分かってはいます
許されないし、お母さんと同じ立場になる事はできない
私はあの人の様に聡明では無いし、お父さんの支えになれるほどの機転も経験も有りません
……でも、私は…私はお父さんの事が
お父さんの事が本当に…好きでした
抱かれたいと思って、何度も自慰してしまうくらい好きでした
他に好きな人なんていませんでした
(いつもは語らない心の内を吐露するうちに、歪んだ笑の顔から涙が伝い落ちる)
間違っていますから…
間違っていると、怒ってください、お父さん…