>>6
…はい
(寄り添う体温に、一瞬身体を震わせる)
(いくら人がいないとはいえど、赤面し、息が乱れている)
(寄り添えばそれらをごまかすことなど出来ない)
…っ…は…
(小さく息を吐く。胸に父の手が当たれば、ヴヴヴと機械が無理やり瑠璃葉に快感を与えている実感がわくだろう)
…くっ
(父の支えがあるのは有り難いが、自分の脚で歩かなければ務めにはならないだろう)
(それに父にしがみついたりして、背広にシワを付けたくはなかった)
(ただ父と寄り添って歩けば、シャンプーの香りの他に汗と仄かな女の匂いが胸元から漏れ出ていることに
父だけが気づくのだろう)
(そう大きな画廊ではないが、出口まで自分がもつかどうか…
瑠璃葉には絶望的に長い道のりに感じられ、気まぐれでも機械を止めて欲しいと表情で哀願することしかできなかった)