(申し訳なさそうに頭を下げる裕也を、余裕のある微笑みで見送り鏡に向き直ると純白のドレスを着た幸せそうな新婦の姿が目に入る。)
(学生時代は何度も染めて色を変えては楽しんでいた髪は、今は地毛に戻し結い上げられている。メイクも今日は結婚式のために少し派手ではあるが、清楚な美咲に合ったものに仕上げられていて、幸せな花嫁の美咲はその姿を満足気に見つめている)

(が、しかし、ガヤガヤと聞き覚えのある男達のざわめきに一瞬にして身体は強張る。やがて知った顔が部屋に入ってくると、ゆっくりと振り返ったまま男達を見回す)

あんたたち…何、裕也やっぱりあんた気づいてたんだ?
(はっ、と短くため息をつくと先程までとは違う剣のある声色で裕也を咎めると、肩に置かれた手を邪魔そうに振り払う)
何言ってんの?バッカじゃない、誰がそんなこと…
(吐き捨てるように言ってスマホから目を逸らし、立ち上がって出口へと向かおうとする)